君に捧ぐ純情(長編)

□Don't Leave Me
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ドラマという単語を
日本語に訳せば

『戯曲』

その名の通りに
オレの恋は正に戯曲

恋に落ちたその人は

好きになっては
いけない人でした…














「実写ドラマ?」


突然のオファーが舞い込んだのは突然の事だった。

新人である以上頂いた話を蹴るのはイメージ的に良くないので極力受けようとは決めていたが…

何かの実写となれば話は別だ。

実写という事は原作があるということで、その原作のファンも当然存在する。

という事はその作品のイメージに自分が合っているのか見極めないと、遅かれ早かれ批判をかう事になる。

そうなればドラマ自体がマイナスイメージなので他の共演者にも迷惑がかかるし、何より自分を抜擢してくれた人に悪い。

そう考えて返事を返す前に内容を詳しく聞こうと、マネージャーと共に椅子に腰掛けた。

話を持って来た番組スタッフと向き合うと、彼は台本らしき冊子をこちらに寄越しながら説明を始める。


「今人気のモデルを売り出そうという案で、新人モデルとベストセラー小説のコラボ案です。
原作者さんが主役の一人は上條さんをと強く希望してまして…。」


「え?主役の一人って…主役が何人か居るんですか?」


オレが素朴な疑問を投げると、説明していたスタッフさんが顔を上げて質問に答えた。


「そうですね、BL小説ですから。でも主な主役は受け側の上條さんですよ?相手の方は準主役的なものですね。」


その言葉に今まで黙っていた横のマネージャーと、オレのセリフが綺麗に被った。


「「BL小説?!」」


オレたちの異様な反応にスタッフさんは少し驚きつつ、それでも断片的に大まかな説明を続ける。


「内容的には純粋な恋愛モノです。キスシーンはありますが、ベッドシーンや激しいものはありません。
今回の台本では、最終回で告白して両想いになれば終わりですから。」


「キ、キスシーン…?!!」


それを聞いてオレは一気に青ざめた。




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