君に捧ぐ初恋
□ANSWER
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もともと夢みたいなものだった
この距離が簡単に埋まるものじゃないと知っていた
少女漫画の編集をしている立場だが漫画の中では有りがちな展開を現実に求めている訳じゃない。
漫画では読み手の心を一瞬にして奪ってしまうイケメンの一言でも心の中では鼻で笑ってた。
現実は冷たくて、男しか好きにならないオレを受け入れがたい世の中なのだ。
『君がいれば他には何もいらない』
だからこんな素敵な言葉をくれる人は自分には一生現れるはずないと。
ましてやイケメンのキラキラした王子様なんて、居たとしてもオレなんて眼中にないっての。
そう思っていたのに
毎日を振り返れば
愛しく思うばかりで
重ねていくだけの日々も
一日一日が意味を持った
一緒に過ごす時間は
どの瞬間も眩しくて
まるで魔法にかけられたみたいだ
だからオレは臆病になる
幸せに心が満たされるのと同時に、終わりの気配に怯えてた
この瞬間がいつか
“思い出”になることを
オレは何よりそれを恐れてた
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