treasure

□Garnet 『君をさがしてた』
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落ち合ったちぃの手を繋ぎ、二人でスケート場へと歩いていく。



付くまでの間、会えないでいた間の日常のあれこれを、お互いに話しながら。



どんなに些細な事柄でも、二人で話しているだけで楽しくて。



笑い合えるこの時に、どれ程、俺が癒されてるか。









「ところで、ちぃはスケート、滑れるのか?」




「そこそこは、滑れますよ?…桂木さんは、きっと、スケートもうまいんだろうなぁ…。」




「ハハハ、普通だよ。…だけど、ちぃが転ばないように、護って滑る自信はあるぞ?」




「も、もう、桂木さん!それなりに滑れるもん!」



頬を膨らませて、スネるその顔も、何もかもが、愛しくて仕方がない。




スケート靴を借りて、二人で履いてリンクに上がる。




久しぶりの氷の感触を思い出し、そのまま少し滑ってみる。




ちぃは…と振り向けば。




「キャッ…」



「危ないっ!」




予想通りにちぃが、滑って転びそうになった瞬間に、ちぃを抱きかかえる。




「…やっぱりな。」



「うぅ…ごめんなさい…」




「ほら…手を貸してごらん?」



そう言って、ちぃの手を取り、立ち上がらせる。



そして、そのままちぃの様子を伺いなら、そっと滑り出す。



「ちぃ、大丈夫か?」



「あっ、はい…何かちょっと久しぶりだから…。」



恥ずかしそうに頬を染めて見上げる、ちぃのはにかむような表情が、たまらなく愛しい。



「あっ…何か、感覚思い出して来たかも。」



「そうみたいだな。」



少しずつ、スピードを上げて、ぎゅっとちぃの手を繋いだまま、滑っていく。



周りの人達の妨げにならないように、気を配りながら。











「桂木さん…やっぱりスゴいです。」




暫く二人で滑り、息の上がったちぃを気遣い、二人でコーヒーを飲みながら、一息入れる。




「ちぃも、最初は転んだりしてたけど、ちゃんとあれだけ滑れるんだもんな。…又、今度来てみようか?」



彼女の頭を撫でながら、次の約束を取り交わす。




「はい!楽しみにしてますね。」




満面の笑みで、返事を返してくれるちぃ。




その笑顔が、俺を癒やして、俺に勇気を与えてくれてるんだ。











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