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□Opal 『The early morning』
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目の前がきらきらと輝く
幸せな暖かさに包まれていた私は、眩しさに眉を潜めて目を開いた

眩しさの原因は、開け放たれたままの遮光カーテンのようだった
辛うじてひいてあるレースのカーテンでは、低い位置で差し込むようになった、明るい朝日を遮れなかったらしい

すっかり目が覚めてしまった私がそっと寝返ると、私の頭の下には、枕の代わりに逞しい腕があった
腕を視線で辿っていくと、筋肉が肩の骨の盛り上がりに変わり、なだらかな肩の線が首と鎖骨に繋がっている
腕や肩に、既に肌色になった傷痕が見える
鎖骨には10円玉程の、ケロイド状になった銃創
骨をも砕くような弾を受けた躰も、今は穏やかに上下している
切なさに目頭が熱くなり、慌てて鎖骨から目を離す

首の筋を目で追いかけると、鋭角な影を持つ顎が目に入る
そのまま視線を上げれば、軽く閉じられた肌色に近い桃色の唇が、微かな無精髭に縁取られているのが目に入る


「ん…」


その唇から声が洩れる
少し掠れた低い声は艶めいて、朝から私の心臓は跳ね上がる

私の枕になっていなかった方の腕がゆっくりと持ち上がり、大きな掌が無造作に散らばった額の髪を押し上げて


「おはよう、ちぃ」


長い睫毛に縁取られた切れ長の、茶色の瞳が私を見つめて呟いた


「あ…。お、はようございます…」


躰を横向きにして私に向き合った彼の指は、自分の額から私の頬そっと触れ、後れ毛を優しく耳に掛けてくれると、また頬に戻る



細められた茶色の瞳に髪が掛かり酷く色っぽく、
頬に触れた指の感触に未だに衣類を纏わないの躰の、昨夜の残り火が反応する


「か、つらぎ「大地」


火照った顔を見られたくなくて
視線を反らせて呟くと、彼の掠れた声が被さってきた


「だって、ちぃも『桂木』だろ?」


私の唇に指を当てて、優しく微笑んでみせる彼
彼の左手が私の頭の下で動いて、手持ち無沙汰に置いてあった私の左手を捉えた
包み込むような彼の掌と重なる私の薬指には、ダイヤを嵌め込んだ銀色に光る指輪
その指に彼の銀色の指輪が当たって、小さな音を発てた


「え…あっ、と…」


至近距離で見つめられた私が視線をさ迷わせると、彼が耳許に唇を寄せて、優しく囁いた


「言ってごらん?」


擽ったさに身を捩ると、左手ごと優しく抱き寄せられた


「ね?」


伏し目勝ちにねだる姿は、狡いくらいに色っぽくて
私は小さく口を開けた


「だいち、さん…」


彼の瞳が輝くと同時に私の視界がくるりと回り、私は彼に組みしだかれていた


「良くできたね、ちぃ。ご褒美だ」

「んっ…」


唇が彼の暖かい重みに塞がれて、忽ちその舌が口内を犯し始める


「ん、はぁっ…」


彼の掌が私の躰を撫でるように愛撫し始めて


「んあっ!」


直ぐに固くなった乳首を刺激される
彼の躰の向こうに見えるレースのカーテンが
一瞬
気にはなったけれど


「大地、さん…」


私は、唇を離れて首筋に顔を埋める彼の背中をそっと抱き締めた
直ぐに翻弄される、彼の愛情に満たされながら…
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