treasure
□Garnet 『ONE』
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少し吹き付ける風が、冷たさを増した初冬の土曜日。
(う〜っ、朝は、やっぱり寒い…。)
ちぃは、目覚ましのアラームがなる前に、眼を覚ました。
時刻は6時。
今日は、桂木とのデートの約束をしていた。
待ち合わせは、午前10時。
親友のみどりから、動物園で、ユキヒョウの赤ちゃんが一般公開されたとの情報を聞かされ、どうしても見たくなり、桂木を誘ったのだ。
「…今日の天気はっと。ーよ〜し、晴れるんだ。がんばってお弁当、作っていこう!」
そう自分に活を入れて、ちぃは、前夜に下拵えをしておいた食材を使って、弁当作りを開始した。
一方、今日、ちぃと待ち合わせる予定の桂木。
たまには、待ち合わせもいいよねとのちぃの提案に乗り、動物園近くの駅で待ち合わせする事になっていた。
アラームと同時に起き、朝の日課であるトレーニングを済ませ、シャワーを浴びる。
最近買った、コーヒーメーカーで、コーヒーを煎れ、新聞に目を通しながら、それを飲む。
時計を見ると、そろそろ出掛ける時間だ。
鏡の前で、自分をチェックしてみる。
この前のデートで、ちぃの買い物に付き合っていた時に、ちぃが絶対に似合うからと、セレクトしてくれた服。
黒地に白とスカイブルーの格子柄のシャツにブラックのデニム。上にパープルのダウン。
自分一人なら、多分絶対に買わないであろうコーディネートなのだが。
ちぃが選んでくれたという事が、俺の胸の中を、暖かくしてくれる。
最近は、総理の周辺も穏やかなせいか、張り詰めた日々から解放されたからなのだろうか?
久し振りのオフに、こんなにゆったりとした気持ちになれるのは、いつくらい振りなのか。
自分が、こんな風に考えられる様になれたのは、ちぃのお陰だ。
桂木よりも、一回り以上も年下のちぃなのに。
ちぃの心や気持ちが、自分を変えてくれている。
大切な、愛しいちぃ。
そんなちぃとの約束の場所へと、桂木は、向かっていった。
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