帽子屋さん2
□音擬噺
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『ねぇ、白龍。あなたシンドリアに行くんですって?』
「はい、…でも何故それを知っているんですか?」
『ふふっあなたのお姉さん、白瑛さんから聞いたのよ』
おかしそうにいうと、彼は少し恥ずかしそうにした。
昔から照れ屋真面目なんだから。
『ねぇ白龍、せっかくだからおみやげ話を沢山してちょうだいね
楽しみに待ってるわ』
「はい、必ず持ってきます。
それであなたが満足できるなら…俺は絶対に忘れません」
『約束よ?白龍』
そんな彼を、笑顔で見送った。
彼の旅路に幸多からんことを。
向こうで、友だちができるよう。
そして、いくつかの日がたち
ー約束の日になった。
『お帰りなさい、白龍』
「 」
『何かあったのかしら、顔色が優れないわね…』
「 」
『…そう』
彼の声を聞いて、絶望した。
やはりもう、聞こえない。
あのころのように聞こえない。
私の耳は、急になにも聞こえなくなってしまった。
ー白龍が旅だった、あの日から。
優しい彼の声も、もう耳は受け付けてくれない。
彼のおみやげ話は何かしら?
ーもう、聞こえはしないけれど
せめて一度だけ、あなたの声で名前を呼んでほしかったな。
「 」
『ねぇ、白龍』
“もう私、何も聞こえないの”
ー音擬噺ー
(あなたの凍り付いた顔が、目から離れない)
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これは白龍サイドを書かないと何の話かわからなくなる 笑
そしてあいも変わらず迷子
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