帽子屋さん

□色彩パレッド
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赤。
孤高の色、ハッキリとした色。



青。
暗い、沈んでいくような色。



緑。
癒されるような、独特な色。



黄。
キラキラした、輝く色。



紫。
何にも譲らないような、そんな色。



私は、キャンパスにそれらを塗っていく。
重ならないように、しっかりと。



『…赤司くん、…青峰くん、…緑間くん、…黄瀬くん、…紫原くん』



小さく、掠れそうな声で呟く。
絵の具を、パレッドの上でグリグリかき回す。



『…黒子くん……っ!』



ぽたりと、絵の具を滲ませる。



変わってしまったの。
みんな季節が移ろう様に。



キセキは、いつまでもそこにあるものじゃない。
彼らも、いつまでもそこにはいないってわかってたのに。



『寂しいな、……やっぱり』



筆が、手から滑り落ちて床に叩きつけられる。
虚しい、音。



『いつまでも、みんなといれるって思ってたのかな……?』



答えなんてない。
ここには、バスケ部なんて存在しない。



逃げたのは、私。





ー色彩パレッドー


(叶うものならあの頃に)





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