帽子屋さん

□過去拍手
1ページ/8ページ

赤の騎士より not名前変換

〜本を読んでみませんか?〜


『ねぇユーリ!』

「ん?どうしたんだ?ユウ」

いつもと少々雰囲気が違うユウキ。
珍しく一人で長いこと外に出たと思ったらこれだ。
ユウキはラピードかユーリがついていかないと、あまり長く外には出ない。


だからこそ、ユーリは混乱していた。
彼女が、自分にジリジリ迫ってくるので。



『文字……。』

「文字がどうかしたのか?」



ユウキは突然泣きそうな顔になる。
そんな彼女に驚くユーリだったが。
すっと、ユウキは本を差し出した。



『文字……教えて!!』

「……は?」



ユウキから唐突に切り出された言葉。
文字を教えて。……なるほど、記憶がないから本も読めないのか?
いや、喋れてるんだから文字くらい……。



『この本、ご近所さんにもらったんだけど……。まったく!まったく!読めないの!!』

「……仕方ねぇか。ホラ」

『?』

「仕方ないから、読み聞かせてやるってんだよ」


その言葉に、ユウキの顔が輝く。
それから、太陽みたいにまぶしい笑顔をユーリに向ける。
ユーリは、正直この笑顔が好きだと思っている。
だから、彼女の頼みごとはなるべくかなえてやりたい。


この笑顔が見れるなら。
面倒くさいことも、悪くないと思える。


だからこそ、彼女の笑顔を曇らせるわけにはいかない。
この笑顔を、守りたいと思えるから。


……だから。ユウ、



本のページを静かにめくる。
ユウキが、興味深深にユーリの後ろから本を覗き込む。
そんな彼女を、少し可愛いと思いながら。
ユーリは、静かに口を開くのだった。


 
いつの作品か不明ぐらい古い(笑)


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ