巡る生命と君
□The tale of beginning is like a bullet.
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少女が、本をだきかかえていた。
それは、焦げ臭いにおいと独特の、古い本の臭いが混じった香りがする。
古びた本だが、扱いはしっかりしていたらしい。
厚い、動物の皮でできたカバーには、傷一つなかった。
タイトルは、“世界の繁栄と終わり”
著者は、ユリア・ジュエと刻まれていた。
かなり厚い本で、しかもこの世で、唯一本人が書いた手記であった。
難しい本の内容と比べれば、明らかにこんな少女が読めるものではない。
しかし彼女は、それが繰り返された光景であるが様に。
ぽつり、ぽつりと呟きだした。
語りだした、本の内容を。
世界は炎に燃えていた。
彼女の、静かな世界。
でも世界にとっては、ほんの一部分だった。
風は、頭を撫でるように。
彼女の黒髪を揺らした。
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