二次創作とドリーム小説

□『不眠君主、過労に伏す』
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「気がついたか、ラウスト」

「…あ?」



…ここは、宿屋の一室。
まだ日は高く、柔らかい日差しが窓から入ってくる。
しかし何故か、ヴァンはベッドの上にいた。



「お、れ?」



ベッドの上で体を起こそうとしたが、力が入らない。



「相当無理をしていたようだな。医師が呆れていた」

「…すまん、迷惑かけたなゼル」



そうヴァンが言うと、ゼルはため息一つで返事をした。



二人は今、主要君主の会議でアデンに来ていた。
本来ならアイリーンと二人で出席する筈だが、
ここ最近になって新参ダークエルフ達への刺客が増え、
“DRNG”全体に緊張感が高まっていた。


こんな時に君主が二人も抜けたら、との声が挙がったので、
今回は一応の護衛役として、ゼルが同行する形になったのだ。



「何にせよ…会議が終わった後で助かった」



よっ、と反動をつけてヴァンが起きあがった。
が、目眩がして、また倒れそうになる。
慌ててゼルが支え、またベッドへと戻す。



「まいったなぁ…今日中に帰らなきゃならないのに。
なぁゼル、アイリーンには黙っててく」

「いい加減にしろ!!」



…突然、ゼルがヴァンを怒鳴りつけた。



「自分の体をもっといたわれ!!
医師が、過労死寸前だと言っていた…
周りには俺が言っておく。だから、頼むから休んでくれ」

「ゼル…ありがとな、でも」

「…まだ何か言う気か?」

「イエ、ナンデモアリマセン」



剣の柄を握って睨みつけるゼルを見て、ヴァンは渋々目を閉じた。





「…寝ちまった、か」



しばらく経って、ヴァンはゆっくりと体を起こした。
まだ目眩がする。体が熱いのになぜか寒い。
起きていられなくて、ヴァンはまた体を横たえた。



「…アイリーン」



ふと、愛しい人の名前を口にする。
無性に、逢いたかった。
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