二次創作とドリーム小説
□『流星群』
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…カチャリと音を立て、目の前の扉が開いた。
中から出てきたのは、魔法衣に身を包んだ長身の女。
「セラさん!リリスは…」
「…外傷は全てふさいだわ。でも…」
セラがあせった様子のレオンを、真っ直ぐに見ながら続けた。
「血を、流しすぎたわね…私の魔法は傷をふさぐことはできるけど、
失った血までは元に戻せない。
ヤンならなんとかなったのかもしれないけど…」
淡々とした口調の中に感じられる、セラ自身の力の無さからくる自責の念に、
レオンの心が大きく揺らいだ。
「セラさんは悪くありません!俺がもっと強かったなら、リリスは…!」
「やめなさい…今更後悔して自分を責めても、仕方の無いことよ」
苦痛の表情で叫ぶレオンの口に、セラは人差し指を当てた。
「今夜が峠よ、レオン君…あなたは、今自分ができることを精一杯やりなさい」
「俺にできること…?」
「リリスちゃん…私が魔法をかけている間中、ずっとあなたの名前を呼び続けていたわ」
「!…わかりました、セラさん」
レオンはセラがみなまで言う前に、自分がやるべきことを理解した。
今俺にできることは、リリスの傍にいてあげること。
「じゃあ、貴方に任せるわね。私は、ちょっと休むわ…」
セラがふらふらとした歩調で自分の部屋へ帰っていった。
足取りがおぼつかなるほどに魔力を消耗してしまい、
これ以上リリスに付き添うのは無理だという判断と、
今のリリスをレオン以外の人間に看病させたくなかったからだった。
「リリス…」
ベッドで死んだように眠るリリスを見て、レオンの心の中に再び自責の想いが生まれる。
「俺がもっと強かったなら…リリスにこんな思いをさせずに済んだのに!」
強く握った握りこぶしからは血が流れ、レオンの目からは涙が流れた。