■体育祭

2学期が始まって体育祭の練習が始まった。
実行委員だったあたしは真っ黒になって砂だらけの体操服で塾に行くようになった。

「なんか疲れてるなぁ〜」
「9月18日体育祭やけん忙しくてっっ。」
「体育祭あるんやなぁ♪どこの中学?」
「N中だよーーー。」
「N中??俺通ってたし!!!!」

あたしの中学は先生の母校だった。
なんだか変な感じがしてでも嬉しくて中学の話とかでまた盛り上がって。

「先生、体育祭見に来てよ」
「時間があったらねぇ〜〜。」


9月18日。
実行委員で走りまわってると達也先生とすれ違った。

「えっ!?!?達也先生!?!?」
「おぉ〜お疲れ!!!!」
「本当に来てくれたんやぁ(≧∪≦)」
「約束したけんなっ!!でも午後授業やけんはやめに帰 るけどっ」
「全然いいよ!!!!来てくれてめちゃ嬉しい」

本当にすっごく嬉しかった。
学校で私服の達也先生と並んで歩く。
笑顔が止まらなくて、先生に抱きつきいくらい嬉しくて。
他の塾生と話してる先生に焼いたりした。
だけど嬉しさの方が大きかった。
幸せを感じてた。

「個別のKさんってどこにいるか分かる?」
「Kはクラス違うから分かんないやっっ。探そうか?」
「いや、俺が探すからいいよ!! 舞だけ応援して帰ったらマズいからなぁ・・・。」
「・・・そうだよね。」

その一言であたしの心の奥にしまっていたモノが溢れてきた。

独占欲。

そんなモノ先生に求めたって仕方ないのに・・・。
“あたしだけを見て”
なんて、なんてワガママなんだ。
あたしは『先生』に求めてはいけないものを求めるようになった。

特別扱いして

どうにもならいと分かっていながら・・・。

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ