■告白

達也先生とは塾で週3回くらい会ってた。
話す内容も時間も夏とほとんど変わってなかった。
ただ1つ変わったコト。
それはあたしの気持ち。
『もっと話したい』
とか
『もっと気に入ってほしい』
とか
欲深いコトばかり思ってしまうようになった。
達也先生が他の子と話してると悔しくて寂しくて
こんな気持ちをどうしていいか分からなくて・・・。
あたしは『すき』って伝えることを決めた。

授業が終わって自習室に来た達也先生に声をかけた。
「先生、話があるの。」
「何?どした?」
そう言って自習室のあたしの隣の席に座った。
「・・・こないだのテストの結果見てほしくて・・・。」
言葉が出てこなくてどうでもイイ話でつなげてた。
「結構頑張ったね。でも数学あと少しやなぁぁ。」
「先生・・・。」
「どうしたん?」
「個別の教室で話したい。」
「いいよ。」

個別の教室に2人きりだった。
ずっと目が合ってた。
「何?」
「あたしね、あたし先生のこと好きなの。」
「気づいてたよ^^」
「うそ!?!?本当に!?!?」
「うん。話してる時の態度見てれば分かるよ。」
「気づいてたんだ。」
「まぁね。」
「あたし先生がいるから勉強も頑張れるの。」
「マジで?ありがとう♪」
「本当に先生が好きなんだぁ。」
「嬉しいよ!!
 やけどな、今は受験の大事な時期やろ?
 恋愛にばっか気をとられて勉強が手につかんくなったら困るんや。
 俺のせいでそんなことになったら本当申し訳ないし。
 やけん、それを忘れんでな。」
「分かったよ。あたし大丈夫。」
「俺の前の生徒でそれで受験失敗した子いるからさぁ。
 授業やりずらくてさぁぁっ。
 俺が他の生徒と話してるだけですねるんだよね。」
「・・・え!?」
「俺はそれで前の校飛ばされたんやぁ。」
「あたしは絶対大丈夫だからね?」
「分かってるよ。」
「ねェ、これからも今まで通りでいてくれる?」
「もちろんだよ。」
他の先生が教室に入って来た。
あたしは急いでバス停まで走って行った。

ねェ、先生。
あたしが何人めの生徒?
生徒から告られるたびにそうやって笑顔でかわしてきたの?
今まで通りなんて・・・。
もっとA好きが大きくなることは分かってるのに。
どうしてこの時、あたしの気持ちを切らなかったの?
あたしはこの時初めて知った。
この恋の大変さと
達也先生の本当の姿。
先生のしゃべり方で分かった。
――本当はただ生徒に好かれて優越感に浸っていたいだけ?

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