□He went to the battlefield to keep love.
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「ディラン」
「…なんだいマーク。ねえ、マークはミーに言わなきゃいけないことあるでしょ?」
「あれ、何で分かったんだ?」
マークは、ははっと爽やかに笑って頭を掻いた。
ディランはいつも通り接するが、心中穏やかではない。
今日のマークはどこかおかしい、ディランは今朝会ってから夕方まで、ずっとその違和感を抱えていた。
マークはいつも相槌をくれるのに、今日はそれが無く、相槌の代わりにずっとディランの顔を見ているのだ。
ディランの表情は百面相のように豊かだから、見ていて飽きないのは少し分かる。
だが眺めている瞳が、いつものマークではない、ディランに少しばかりの緊張が走り、言葉が続くのを待っている。
マークは、
「…大事な話なんだ」
悲しそうに眉の端を垂らし、精一杯微笑んだ。
「今度の日本遠征、俺も――」
ディランは頭の奥で警告を告げる音がするのが分かった。
ディランは「もう言わなくていい」、と声には出せずに訴える。
マークは分かっていたかも知れないが、続けた。
「俺も、行くことにしたんだ」
ディランは顔を両手で覆い、唇を噛みしめる。
――ねえマーク?
ホントはマーク自身が望んだことじゃ、ないんだよね。
ミーは分かってるんだよ?
マークのことなら、ミーは全部知ってるつもりさ。
きっと、あと、大きなカボチャのママと、アメーバみたいにアメリカを愛するパパがそう言ったんだ。
だよね?マーク。
――ねえディラン?
俺は本土を守りに行くのさ。ここには大切なものが多すぎる。
大きなカボチャのような母さんと、アメーバみたいにアメリカを愛する父さんが、きっかけだったとしても。
だけど、やっぱり自分の意思なんだ、ディラン。
信じてくれ、約束する。
俺は、
帰ってくるよ。
He went to the battlefield to keep love.
「彼は、愛を守るために、戦場へ行きました。」
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