Novel
□いちばんやよ
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特別なんだよ、あなたは。
言葉にするにはむず痒く、気恥ずかしい。でも、言うまでもないのかな。
「やぁや、なにも泣くこたないだろ」
幼なじみの、つっけんどんながらも、優しい声。
自分は相変わらず子供みたいに泣きじゃくるんだけど、彼は子供の時と変わらず、慰めてくれる。
「慎太、もうっ無茶したら・・・アカンでぇ」
さっき、体育館の上から飛び移った時も、心臓が止まるかと思った。
「ウチがどれだけっ・・・心配したと思っとるんやぁ!」
慎太は口をモゴモゴさせて、気まずそうに頭をかいた。自分の為に泣いてくれているとなると、なんともいえない。
「あ、ありがとな」
「ごめんなさいやろ・・・日本語違てるで」
私にとって、一番近くの人なんだからね。
いなくなったら、一番悲しいんだから。
一緒にいると、一番楽しいんだから。
わかってくれるまで、教えない。聞こえないように、ぽつり。
「慎太が、いちばんなんやで」