Novel

□まっすぐな
1ページ/2ページ

綺麗だと、思った。
本当に心から。


彼女をみた。
その双眸は、歩む先をただ、見つめている。

「マコトさんっ!」

かけ足で傍に歩み寄る。もちろん、いつもの調子で竹刀の一撃を喰らわないよう、少し距離を置いて。


近くで見ると、より綺麗だ。神話の女神も、彼女にはかなうまい。

「なんだ、花シマダ、またからかいに来たのか」

「からかうなんてとんでもない!私はただ・・・」

言いかけて、気づいた。表情に、陰り。


「ど、どうしたのですか、マコトさん!?」

真は彼のその言葉に少し驚いたようだった。悟られまいと、思っていたのだろう。

「いや、なんでもないぞ。お前も、私に構うヒマがあるのなら、他のことに精を出したらどうだ」

いつもの調子で、軽くあしらう。愚問だ、貴女しか考えられないというのに。


自分から弱音を吐かない。強く、美しい、彼女。

でも・・・。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ