Novel
□まっすぐな
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美しいものほど、脆くはかないものだ。
ことに彼女は、自分の弱さを、人にみせない。人を頼らない。
それが心配で、心配で・・・。
花島田は、胸がきつくしまるような思いでいた。
頼りない自分が、情けない。
「無理しないで」
思いがつい、口からこぼれた。
彼女のことだから、「無理なんかしていない」と、強がってみせるのだろう。
コツン
不意に、頭を小突かれた。いつもの竹刀ではなく、華奢で綺麗なその手で。
「マ、マコトさん!?」
なぜ小突かれたのか、訳がわからないまま彼女をみた。しばらくぶりの、笑顔をみた。
「馬鹿者、らしくないぞ」
慰めてあげるつもりが、
どうやら、慰められてしまったみたいだ。
でも彼女はなぜか、嬉しそうだった。
貴女が喜んでくれれば、それでじゅうぶん幸せ。
まっすぐ歩く貴女の、傍で一緒に歩めれば、もっと。