Novel
□とくべつ
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彼も私の様子に不満だろう。
でも、バスケのせいとか言えば、彼を困らせる。
そう思うと、やりきれない。
私があれこれ考えてうつむいていると、
ふいに、
ポン
と頭を手がおおった。
ホントに、おおったという言葉が正しい。とても大きな手で、優しく包むように。
私は俯きながら、思わず言葉がこぼれた。
「…ずるい、じょおかあ」
「出た、呪文」
ジョーカーはからかったが、私は怒る気になれなかった。
優しく撫でる手から、私を想ってくれているのを感じたから。
「カッコよかったよ」
安心してから贈る、ホントに言いたかった、素直な言葉。
「まあな」
とても嬉しそうな、彼の笑顔。
この笑顔は、バスケしてる時より、一等特別な笑顔だと思ってる。
勝手に思って、幸せを感じている。