小春日和
□08
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「「!!!」」
二人の目に映ったのは、窓ガラスの向こうにいる、おそらくこの首謀者たちとみられる攘夷志士だった。
その手には小型爆弾と、ライフルらしきモノが見える。
沖田「土方さーん」
萌絵「沖田さん!」
沖田「今伝令がありましてねィ、伝えに来たんでさァ」
伝令だというのに、マイペースな沖田。
それに何も言わず、土方は続ける。
土方「お前には指揮を任せたはずだ。何で…
……いや、やっぱ答えなくていい。また原田に任せた…違う、ゴリ押したんだろ
そういや、伝令なら山崎に任せりゃいいんじゃ…」
沖田「山崎より、メールの方が確実でさァ
…まぁ、そうしたかったんですがねィ、生憎山崎は突撃準備でさァ
で、本題。
敵のホシは『臨魂党』とかいう奴等ですぜィ」
由梨「…りんごんとう?…聞いたことないや」
萌絵「…なんか、NH星の朝の子供番組で聞いたことあるような……」
由梨「や、そういうこと言うなや」
土方「…臨魂党……」土方は意味有り気に低く唸り、そして続けた。「聞いたことないな。」
由梨「いや聞いたことないんかい!」
萌絵「出た!!由梨の関西弁!!」
萌絵は嬉しそうに「由梨の関西弁を聞いた人は、この2、3週間は絶対風邪ひかないんだよ!!」と、いらないプチ情報を加えていた。
沖田「要するにアレでさァ、知名度低すぎて誰も知らないんだろィ?」
萌絵「それも一理ありますね…
というか、それが全てだと思います」
四人は高くそびえるデパートを見上げる。
すぐ隣で、隊士たちの声も聞こえてきた。
そこでビルへの突撃準備が行われている。
中には沙代もいるのだ。
まだ見知ってから数日しか経ってないとはいえ、真選組の仲間。
突撃も容易には行かない。
もしかしたら交換条件も出してくるかもしれない。
突撃準備に携わる山崎は、ビルを一点に見つめていた。