小春日和

□08
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〜沙代〜


由梨に勧められてこの四越デパートに来たけど…

……なんじゃこれ

デパートに入った途端、なんかテロ的なモノ始まっちゃったし。
攘夷浪士がうじゃうじゃいるし。
なんか皆一ヶ所に集められて意味分かんない演説聞かされたし。


…仕組んだ?っていう答えが絶対最後に出てくる。

え?何でこうなった?
何であたし此処来たんだっけ…あれ仕組まれた?

…みたいな。

由梨は絶対そんなことしないと思うけど。


こっちからは見えないけど、今頃外で真選組のみんなが珍しく真剣な顔で上を見上げてるんだろうなー…
うわ、超見てぇ!写メ撮りてぇ!

…すみません、取り乱しました。

この区切りはあたしがナレーション兼ボケ兼ツッコミetcしなきゃならんのだな…
こういうの初めてだから緊張する…

「おい、そこの奴聞いてんのか」

「…あ、あたしですか?
すんません、聞いてなかったです。」

うわ、びっくりした…
授業中、急に指される時とおんなじ心理だよ、絶対。

「貴様なめてるだろ
…こんなのにかまってたら時間がない、続けるぞ

光栄に思え!
我等はこの聞く耳を持たぬ腐った江戸に意志を示すことができるのだ、
行動によってな!!」

「…行動?」

行動?
…やばい、あたし本当聞いてなかった

「爆弾を仕掛けた」



……ば?


あたしの思考回路はショートする。
ば?ば…?ば…?ばっふぁろー?

しかし無慈悲にも男はそのまま言葉を続ける。

「しかも、ここで爆発させれば凄いことになるぞ…
江戸中が火の海だ……!!」


爆発……火の海……

爆弾!!?

そこでやっと、回復したあたしの頭に、一つの単語がぐるぐる回っている。

 
「おい、そこの奴うるさいぞ」
「あ、すんません」

いやいやいやいや…え?
嘘だろ?嘘だと言っておくれよジョニー!!

絶対嫌だ!トリップしたのに…!山崎君と会えたのに…!
こんなとこで死ぬなんて…

「い……犬死にはいやだぁぁああ!!」

思わず叫んだ。
でも後から思った。
言葉はちゃんと選ぼう、と。

「貴様!!『犬死に』とは聞き捨てならん!!」
「そこに直れ!叩き斬ってくれるわ!!」

「うわ!すんません!!まじすんません!!」

全力で謝るも時すでに遅し。目の前には大量の攘夷浪士が。

「動くなよ、糞女」

このいたいけな少女に刀を向け、薄く笑う男。


「!!!……っ」


うわ…コイツ絶対モテないな。

 
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