小春日和
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暫く経ち、ひと足早く宿題を終えた沙代は図書館でひとり冒険を始めていた。
沙代「うわっ、この小説欲しかった奴じゃん!!テンション上がるわ!!」
珍しい沙代のいつもより高い声を聞いて、由梨と萌絵は宿題のスピードが少し上がった。
由梨「うう゛…ずるいずるい!…」
萌絵「よし!!ラスト1問!」
由梨「ええ!!うわわわ!」
10秒あまり、無言が続く。
萌絵「…よし、終わった!!」
シャーペンの置く音が人気の無い図書館に無駄に響いた。
その音が由梨をより一層焦らせる。
由梨「早っ!ちょ、待って!!」
萌絵「さぁさ、冒険冒険!」
萌絵は、沙代と共に図書館での冒険を始めたのだった。
萌絵「あ、この小説知ってる!これ、CMとかでやってる奴だよね?私もこれ欲しかったの!」
沙代「だよね!あたしもあのCM見て思ったんだ!!」
宿題に頭を悩ませる由梨をよそに、CMの話に華をさかす二人。
その時、沙代の視線がある本棚の一角に止まった。
そこは古い書物が多数並んでおり、周りの雰囲気とは異なった
まさに『次元が違う』空間だった。
萌絵「あれ、沙代って歴オタだったっけ?」
その本棚に瞳の色を変えて向かう沙代を見て、萌絵は疑問に思った。
沙代「まぁ、ちょっとねー」
そう答える沙代だったが、その声のトーン、抑揚は完全に心躍っている。
本日二度目のテンションが上がった沙代は、年季の入った古びた本がたくさん並ぶ本棚を見ていた。