小春日和

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由梨の宿題もだいぶ進んだころ、沙代はある一冊の本を見つけた。

沙代「……と………っぷ………?」

萌絵「?」何か見つけた様子の沙代を見て、気にせずにはいられなかった。「どうしたの?」

それに答える沙代も、何が何だか分からない、という様子だ。

沙代「いや…なんか変な本見つけて。」

沙代が手にしている本は、埃まみれで所々文字がかすれて見えなくなっていた。

沙代「なんか…『トリップ』みたいな文字があって…」

その言葉に、半分寝ていた由梨の目が突然開き、輝いた。

由梨「トリップ!?」

図書館にいる分にはなかなか聞けない大声。
館内にいる数少ない客は、全員こちらを向いただろう。

沙代「え?うん…」

由梨「え!?銀魂の世界行けるの!!?」

沙代「いや、まだそう決まったわけじゃ…」

萌絵「え!?沖田さんに会えるの!!?」

沙代「お前もか!! 
…ん?中にこれ……魔法陣?」

由梨と萌絵は、沙代の言葉を聞き終わる前に行動を起こしていた。

由梨「萌絵!!紙とペンある!?」

萌絵「こちら萌絵、準備は整ったでありますッ!!」

素晴らしい連係プレー。と言いたい所だが、
その力を発揮するタイミングが明らかに普通とずれている。

沙代「アンタ等何やってんの?」

「「トリップの準備」」

由梨と萌絵は声をそろえてそう言う。
頭を抱える常識人

沙代「いや、それは流れ的に分かるよ!
でも今?もっとさ、こう…なんか準備とか…」

由梨「大丈夫大丈夫。なんとかなるって!」

萌絵はもう本の魔法陣を紙に写し始めていた。

沙代「そのノリが不安なんだよ!」

沙代のさっきまでの明るい声と一変した声は、二人には全く聞こえていなかった。
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