stsk
□あの日の君
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あぁ、また一つ期待してしまった。
「あーずさっ!」
「翼、どうしたの?」
「呼んだだけ!ぬはは、ぬははは!」
―――意味わかんない、から。
僕はとことん翼に弱いらしい。
笑顔とか
泣き顔とか
怒った顔とか
困った顔。
どれも放っておけないよ。
でも、なんでだろうね?
もう君は、あの日みたいに弱くないからきっと、僕がいなくても大丈夫なんだろうと思ってしまう。
そう思うととっても寂しくて・・・。
「梓ぁー」
ふいにぎゅぅ、と抱きついてきた。
僕が驚いて翼の方を向くと「何考えてるんだー?」と寂しそうな顔で僕を見ていた。
「んー・・・・翼のこと」
「俺の事?」
「そ。」
そう言うと嬉しそうにぎゅぅぅっと抱きつく力を強くする。
「むぐっ、く、苦しい!」
「嬉しいのだ〜」
ぬはは、と笑顔で言うもんだから僕も嬉しくなって気が付いた。
あの日の君
きっと僕が弱いから翼を離したくないだけだ。