stsk

□あの日の君
1ページ/2ページ


あぁ、また一つ期待してしまった。


「あーずさっ!」
「翼、どうしたの?」
「呼んだだけ!ぬはは、ぬははは!」

―――意味わかんない、から。

僕はとことん翼に弱いらしい。

笑顔とか
泣き顔とか
怒った顔とか
困った顔。


どれも放っておけないよ。


でも、なんでだろうね?


もう君は、あの日みたいに弱くないからきっと、僕がいなくても大丈夫なんだろうと思ってしまう。

そう思うととっても寂しくて・・・。



「梓ぁー」

ふいにぎゅぅ、と抱きついてきた。

僕が驚いて翼の方を向くと「何考えてるんだー?」と寂しそうな顔で僕を見ていた。

「んー・・・・翼のこと」
「俺の事?」
「そ。」

そう言うと嬉しそうにぎゅぅぅっと抱きつく力を強くする。

「むぐっ、く、苦しい!」
「嬉しいのだ〜」
ぬはは、と笑顔で言うもんだから僕も嬉しくなって気が付いた。


あの日の君


きっと僕が弱いから翼を離したくないだけだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ