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□僕のいない朝は、
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むくり、と起きる。
隣には翼がいて「ああよかった。」なんて安堵する僕。
――――ごめんね。
心の中で謝ると翼のおでこに軽く口付ける。
「・・・ちょっと、出かけてくるね」
起こさないようにこっそりベッドから降りると僕は部屋から出た。
*
朝。
俺が起きるとそこには梓がいなかった。
「あ、ず・・・・・さ」
空っぽの毛布。
辺りを見回しても何もない気配。
一人の、朝。
「梓、梓あずさ、あずさ・・・・」
なんで?
なんで?
「お願い、帰ってきて・・・」
もう悪い事はしませんから
もう発明品を爆発させないから
もう些細な事で嫉妬しないから
愛想つかさないで?
嫌わないで?
お願い・・・・・
ふいに、コンコンとドアがなる。
俺は振り返ると急いであける。
「−−ッ、梓!?」
「わっ、驚いた・・・。天羽君・・ちょっといいかな?」
「ぬ・・・梓は?」
「それが・・・」
のっぽ先輩だ。
がさ、と見せたのは手紙。
そこには梓の筆跡で『弓道場で待ってます』との文字。
「本当は僕が行った方がいいんだろうけど・・・なんだか、君に行ってほしいんだ」
「ぬ・・・」
俺はこくん、とうなずくとすぐに部屋から出た。
「・・・僕は、関係ない気がしてね」
そんなのっぽ先輩の声をかすかに聞きながら。