銀魂 short

□好きだから
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「旦那ァ…俺を高杉の所へ連れて行ってくれやせんか」

沖田はひとり、万事屋に訪れた。
内容は高杉のこと。

いつもとは違う、すこし弱々しい声で銀時に話しかける。


「沖田くんはなんで高杉のとこに行きたいの…。もしかして脅された?」

今の高杉なら沖田を脅して、真選組を潰すなど雑作もないだろう。

銀時は沖田に出会ってからずっと沖田の事が好きだった。
だからこそ、沖田のことが心配だった。

「…違いまさァ。俺がただ高杉に逢いたいだけでさァ」


銀時にはどうゆう意味が分からなかった。だって、鬼兵隊と真選組は敵対している。

つまり、鬼兵隊総督の高杉と真選組一番隊隊長の沖田は敵同士なのだ。

「意味がよく分からないんですけどォォ」

銀時はまだ混乱しているのか、いきなりうるさく叫びだした。



「旦那ァ…うるさいですぜィ?今すぐその口きけなくしてやりやしょうかィ」

「いや、あのゴメンネ?…だから刀しまって!」

銀時は怯えた顔で沖田に頼む。


「…まぁ、冗談でさァ。俺は高杉を止めたいだけでさァ」

「止めるって…どうやって?」


「んなもん決まってるじゃないですかィ。俺が高杉ンとこに行く。それだけの話でィ」

「はあ?それってどうゆう…」

「だから、俺が鬼兵隊に入る。わかりやすかィ?旦那ァ物分かりが悪いですねィ」

沖田は銀時の反応に呆れる。


「えっ?高杉って沖田くんの何なの」

ここまで来ると銀時は沖田と高杉の関係が気になり始める。沖田はさっき脅しではないと言った。

つまり、沖田と高杉には何かがあるのだ。

「高杉は俺にとってすごく大事な人なんでさァ」



その言葉に銀時はショックを受ける。
当然だ。好きな相手に面と向かって好きな奴がいると言われたようなものだ。


「…わかった。連れてくよ」

銀時はすぐに頭をきりかえて沖田の頼みを引き受ける。

「ほんとですかィ!ありがとうごぜェやすッ」

沖田は今までにない笑顔を見せた。銀時はその笑顔を見るだけで幸せな気分になる。

高杉に渡すのは嫌だが、沖田をこんな見たこともない無邪気な笑顔にできるのはアイツしかいないんだと悟った。

だから、銀時は高杉のところに沖田を連れて行った。



高杉に逢った沖田は本当に嬉しそうで。
高杉のあんな優しい顔も初めて見た。

しかも、あの高杉がありがとうって。
今日は驚くことだらけだ。

「高杉…沖田くんのこと頼むぜ」

「あたり前ェだ。じゃあな…銀時ィ」


高杉は沖田を連れて空に消えていった。



好きだから。
だから俺は君の幸せを願うよ。




end
 

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