捧げ・頂き・リク小説

□僕らだけの記念日
1ページ/2ページ



今日も臨也は池袋に来ていた。


シズちゃんってほんと面白いよねぇ。

ちょっとからかっただけですぐ暴力。


ほんと、バカだよねぇ。



まあ、今日の目的はシズちゃんじゃあない。

情報によると、あの子はいつも仲良し3人組でここを通る。

早く会いたくてまわりを見まわす。


すると、一際目立つ黄色い髪がこっちに向かってくる。

見つけた―――。


臨也は足早に目立つ彼に近づく。

そしてなんの躊躇いもなくその細い腕を掴む。


「……っっ!?…あれ、臨也さん??」

いきなり掴まれたことに驚き、正臣は身構えたが、掴んだであろう人物を見て警戒を解いた。

「帝人くん、正臣借りてくねぇ」


有無を言わさず臨也は正臣の腕を引っ張り人ごみを掻き分けていく。


「ちょっ…臨也さん!まっ…」

正臣が何か言っているがそんなのは気にしない。


臨也は人気のないところまで正臣を連れ出すと足を止めた。

「臨也さん、いきなりど―したんですか」

正臣は臨也の行動を不思議に思い臨也に問う。


「ねえ、正臣は覚えてる?」

「なにをですか?」

主語がない言葉に正臣は戸惑う。


「去年の今日、俺達は出会った」

その言葉を聞いた正臣の頭の中は疑問でいっぱいだ。なぜなら、正臣にはそんな記憶がない。


記憶の中では臨也と会ったのはもっと最近のはずだ。


「なんか、去年会った記憶がないんですけど」

「あははっ…だって俺が勝手に見てただけだもん」



臨也は愛おしそうな顔をして正臣を見る。

「ねえ、キスしたいんだけど…ダメ?」

「…へっ?」

突然の申し出に正臣は間の抜けた声を漏らす。

「まあ、断られてもするけどさ」


臨也は正臣に触れるだけのキスをする。すると、正臣の顔が見る見る赤く染まっていく。

「ねえ…正臣」

相手の吐息を肌に感じるくらいに顔を近づけ、視線を合わせる。

「…なんですか」

臨也の放つ雰囲気が妖艶でまともに目を合わせられず、正臣は俯く。


「俺とつき合ってくれない?」


正臣は今よりもさらに顔を赤く染め、恥ずかしがりながらも首を縦に振る。


「じゃあ、今日が新しい俺たちの始まりになるわけだ」

「一年後、二人っきりで祝おう」

みんなには内緒だよ?


だって、

俺達だけの記念日なんだから・・・




fin


→あとがき
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ