捧げ・頂き・リク小説
□特等席
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「はぁ〜、…ねむっ」
俺は午後の授業がかったるくて屋上に足を進める
屋上へと続く扉を開けていつもの場所へと向かう
扉から見て右側。タンクの後ろにある小さな隙間。俺しか知らない、俺専用の特等席。
だが、行ってみると誰だかわからない足が覗いている
「……誰でィ。そこは俺の特等席でさァ」
俺は顔も見ずにその男の足を蹴る。なんで男かわかるかってェと、学ラン着てたら普通男でしょ?
「……ってェな。」
その男はすぐ起きた。そして俺を睨んでくる。
よく見ると、隣の組の高杉晋助だった
「高杉ですかィ。だったら話は早ェ。ここは俺の場所なんでィ。どいてくれやすかねェ」
「俺ァいま眠てェんだよ。サボりてェんなら隣来て勝手に寝やがれ」
高杉はそう言うと目を閉じスゥスゥと規則正しい寝息をたて始めた
さすが学校一の不良
「勝手な野郎でィ」
俺は素直に高杉の隣に腰を下ろし、寝顔を覗いてみる。
「意外に綺麗な顔してんですねェ」
自分の口から自然に出てきた言葉に驚く
もっと近くで見てみたくて俺は顔を近づけた。
その時、
「………っん!!!」
高杉が迫ってきて唇が重なる
「ふっ……んぁ…っはぁ」
酸素がほしくて閉ざしていた唇を開けると高杉の舌が中に入ってくる。舌を絡め取られ、さらに息が出来ない。
「たっ…かす、ぎ」
段々身体の力が抜けていく。抵抗していた腕からも力が消え逆に高杉のシャツを掴み皺になっている
いつの間にか高杉と俺の体勢が逆なり、俺が押し倒されてる状態になる。そして、力が入らなくなった手を絡め取られる。
ようやく離してくれた頃にはもう身体が動かなくなり、瞳からは大きな雫が溢れていた。
「オメェ意外にイイ顔するじゃねェか」
高杉は俺の頬に手を滑らせる。触れられるだけで、反応する身体に嫌気がさす。
「なんだァ?俺に触って欲しいのかァ」
「……っ!」
反抗したくても唇が痺れて言葉が出てこない
「ククッ…また会おうぜ。俺ァここにいるからよォ」
高杉は起きあがり扉に向かって進む
暫くして俺はやっと起きあがった
「……ここは俺だけの場所なんでィ。次会ったときはぜってー負けねェ」
腫れた唇を指で撫でながら俺は屋上を後にした
fin
→あとがき