捧げ・頂き・リク小説
□距離
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俺がサイコーに告ってから早1ヶ月。
俺達の関係はなんにも変わらない。
一応サイコーはOKしてくれたけど、全く進展しない。
朝も帰りも一緒に帰ってるけど、サイコーはいつも俺の1歩後ろを歩く。
話しかけても、ネームとかの話以外は「あー」とか「うー」とか・・・
しまいには「……」とか。沈黙って酷すぎだろ。
俺って嫌われてんのかなって思い始めた頃、いきなりサイコーに話しかけられた。
「シュージン」
すんげー珍しくてガン見してたら「やっぱなんでもねぇ」って言って席に戻っていった。
全くあいつの心が読めない。あいつが俺をどう思っているのか、確かめなくてはとサイコーを呼びだした。
「なんだよ…」
呼びだしてからいくらかもしないでサイコーは来た。でもやっぱり何か素っ気なくてまた少し不安が募る。
「サイコーってさ、俺のこと本当はどう思ってるの?」
早くサイコーの気持ちが知りたくてストレートに問いただす。
サイコーは目を見開いて俺をみた後、顔を背け俯く。
「俺のこと好きじゃない?」
「てかむしろ嫌いなの?」って付け加えてサイコーの返事を待つ。
一瞬、サイコーの肩がビクッと揺れた。
やっぱ好きじゃないんだって嫌いなんだって。
そう受け取ってサイコーに背を向けその場から離れようとした時、後ろから声がした。
「…っざけんな」
「なに?」
聞こえなくて、振り向き様に聞き返す。すると、あのサイコーが聞いたことのないくらいでかい声で俺に言った。
「ふざけんなってんだよ!こっちは好きすぎてどうすればいいかわかんなくて大変なんだよっ!お前見てるだけで体温急上昇で死にそうなんだよっ…、」
肩を上下させてそのでっかい瞳から大粒の涙を零してあのサイコーが叫んでる。
「お前といるだけで恥ずかしくて何も喋れねぇし、頭ン中真っ白なんだよっ!…それぐらいわかれよっ!この馬鹿野郎ッ」
サイコーが顔真っ赤にして手が白くなるくらい強く拳を作ってる。
俺はそこでようやく理解した。
あの冷たい素振りも、素っ気ない返事も全部・・・
よくよく考えてみればそうだ。サイコーは今時の男子には珍しいくらいピュアな心の持ち主だった。
そっか・・
いままでのは全部照れ隠しだったのか。
そうわかった瞬間。俺の心の霧は一気に晴れていった。