novel
□変態に恋されてしまいました5題
2ページ/10ページ
「あら? ルーク、どうしたの」
その顔の傷。
ティアが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「いや…、ちょっと転んだだけ」
「そう、ならいいんだけど」
ファーストエイド
ティアが術を発動させる。
さっきまでじんじんと鈍い痛みを放ち続けていた傷が、すっと消えていった。
「ありがとう」
「気をつけないと、危ないわよ」
「あぁ、そうだな」
荒れていた気持ちが落ち着いてくる。
ファーストエイドってそういう効果もあるのかなーとか思いつつ、怪我を負う羽目になった元凶達の方に目をやる。
……が、居なかった。
2人とも居なくなっていた。
「……」
「…どうかしたの? ボーっとして」
「え、いや。なんでもないよ」
「…変なルーク」
「ハハハ…」
このまま居なくなってくれればいいなあ
そしたら、俺の人生には平穏が訪れ…
「ルークッッッ!」
「出た…」
なかった。
2人揃って現れた。
「あら、ガイに大佐。……今日も元気ね」
ティアがちょっと引いている。
ちょっとずつ後退している。
あっ、ちょ、逃げんな!
…もういい。
コイツらには構わないことにしよう。存在を無視するんだ…
そう心に決めて、歩き出す。
もちろん早歩きだ。
スタスタ歩く。どんどん歩く。
横目で後ろを確認すると…着いてきてる…だと
「もうやだ…」
蚊の鳴くような声だった。
それを皮切りに、俺は走り出した。
逃げるんだ、俺は。
「待て、ルーク!」
「どうして逃げるんですか」
「……」
ただただ、無言で走った。
♪
「はぁっ、はっ…はぁ」
近くにあった木に寄りかかり、呼吸を整える。
ここにはティアもナタリアもアニスもいる。…あ、ミュウもだ。
「どうしたんですの? ご主人様、苦しそうですの」
「ちょっと走っただけだよ」
「心配ですの…」
「はは、ありがとう」
自分を心配してくれるミュウを可愛いと思った。
頭を撫でてやると、嬉しそうに鳴いた。
「見つけたぞ、ルーク」
「!」
腰にひんやりとした何かが触れた。
「まったく、酷いじゃないですか。年寄りをこんなに走らせて」
耳に生暖かい風を感じた。
「な…なんだよ?」
顔が引きつる。
口の端がピクピクと痙攣を起こしかけているのがわかる。
恐る恐る腰に目をやると、そこには手があった。
手袋を嵌めていない手だ。
ガイもジェイドも手袋を嵌めている。
そして、生暖かい風を感じた方をチラと見る。
赤い瞳
「何…」
あぁ、把握した。
腰の手がガイで、耳がジェイドだ。
ぞわっと背中を何かが駆け上がっていくかんじがした。
「ふっ…」
「ひゃっ」
耳に息が吹きかけられ、思わず声を上げてしまった。
屈辱だ…
「かわいいなぁ、ルークぅ」
「ちょっ……やめ…」
腰を撫で回された。
ぞわぞわする。
「………」
「…ルーク?」
「…調子に乗んなぁあああああああああああああ!!!!」
「うわあ」
「おっと」
「…響け、集え、全てを滅する刃と化せ…」
「え」
「ちょっと待」
「ロスト・フォン・ドライブ!!!!!!!!!!」
「ぐはぁあああ……!!」
10000EXP獲得
♪