novel

□変態に恋されてしまいました5題
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「あら? ルーク、どうしたの」

その顔の傷。

ティアが心配そうに顔を覗き込んでくる。

「いや…、ちょっと転んだだけ」

「そう、ならいいんだけど」

ファーストエイド

ティアが術を発動させる。

さっきまでじんじんと鈍い痛みを放ち続けていた傷が、すっと消えていった。

「ありがとう」

「気をつけないと、危ないわよ」

「あぁ、そうだな」

荒れていた気持ちが落ち着いてくる。

ファーストエイドってそういう効果もあるのかなーとか思いつつ、怪我を負う羽目になった元凶達の方に目をやる。

……が、居なかった。

2人とも居なくなっていた。

「……」

「…どうかしたの? ボーっとして」

「え、いや。なんでもないよ」

「…変なルーク」

「ハハハ…」

このまま居なくなってくれればいいなあ

そしたら、俺の人生には平穏が訪れ…

「ルークッッッ!」

「出た…」

なかった。

2人揃って現れた。

「あら、ガイに大佐。……今日も元気ね」

ティアがちょっと引いている。

ちょっとずつ後退している。

あっ、ちょ、逃げんな!

…もういい。

コイツらには構わないことにしよう。存在を無視するんだ…

そう心に決めて、歩き出す。

もちろん早歩きだ。

スタスタ歩く。どんどん歩く。

横目で後ろを確認すると…着いてきてる…だと

「もうやだ…」

蚊の鳴くような声だった。

それを皮切りに、俺は走り出した。

逃げるんだ、俺は。

「待て、ルーク!」

「どうして逃げるんですか」

「……」

ただただ、無言で走った。















「はぁっ、はっ…はぁ」

近くにあった木に寄りかかり、呼吸を整える。

ここにはティアもナタリアもアニスもいる。…あ、ミュウもだ。

「どうしたんですの? ご主人様、苦しそうですの」

「ちょっと走っただけだよ」

「心配ですの…」

「はは、ありがとう」

自分を心配してくれるミュウを可愛いと思った。

頭を撫でてやると、嬉しそうに鳴いた。

「見つけたぞ、ルーク」

「!」

腰にひんやりとした何かが触れた。

「まったく、酷いじゃないですか。年寄りをこんなに走らせて」

耳に生暖かい風を感じた。

「な…なんだよ?」

顔が引きつる。

口の端がピクピクと痙攣を起こしかけているのがわかる。

恐る恐る腰に目をやると、そこには手があった。

手袋を嵌めていない手だ。

ガイもジェイドも手袋を嵌めている。

そして、生暖かい風を感じた方をチラと見る。

赤い瞳

「何…」

あぁ、把握した。

腰の手がガイで、耳がジェイドだ。

ぞわっと背中を何かが駆け上がっていくかんじがした。

「ふっ…」

「ひゃっ」

耳に息が吹きかけられ、思わず声を上げてしまった。

屈辱だ…

「かわいいなぁ、ルークぅ」

「ちょっ……やめ…」

腰を撫で回された。

ぞわぞわする。

「………」

「…ルーク?」



「…調子に乗んなぁあああああああああああああ!!!!」



「うわあ」

「おっと」





「…響け、集え、全てを滅する刃と化せ…」



「え」

「ちょっと待」





「ロスト・フォン・ドライブ!!!!!!!!!!」





「ぐはぁあああ……!!」





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