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□ウラオモテマエ
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【side吉野→山ノ上次男】
このさいはっきりさせておく。
俺はこの男、山之上真由のことが好きだ。
何時からか、そんなことわからねぇ。
ただ好きだと気づいた。
普通の女なら簡単だが、真由は男の上に変わってる。
そんな真由を好きだという俺も相当変なんだと思う。
真由とは小学生来のつきあいで、中学校までは同じクラスだった。
しかし高校は真由は私立に行くと聞いて、俺は行けるはずのないレベルだということが分かった。
真由は頭はいいほうだ。
運動は全然だけどwwそこが可愛いとこでも・・・じゃなかった、俺は猛勉強して同じ高校に入ったはいいが(両親も信じられないと大喜びだ)、特進クラスの真由とは同じクラスになれるはずがなかった。
あいつ、前村も真由とよく三人でつるんでて、前村と真由は幼稚園、俺は小学生からだった。
前村のやつは性格悪い癖に(関係ない)頭がいい。
だから真由と同じクラスになりやがった。
でも行き帰りとかは一緒だし、昼も俺が誘いに行く。
「真由ー上村ー。昼行こーぜ」
声をかけに行くと、また真由が不機嫌そうだ。
なにかされたのかな、真由はよく体育科の男子にからまれている。
男にしては華奢だし、身長はあるんだけど線が細い。
つまりいじられやすいキャラなんだろう。
真由をいじろうとする男がいたら殺意しか湧かないがな。
「吉野」
低音ボイスで答える真由。
元々声低いから、声変わりはあんまりしてない。
した割には高いと思う。
でも今はキレてるからで。
「なに?キレてる?」
前村は黙って首を振っている。
ああ最悪なタイミングで俺が来たことが分かった。
なぜか俺が教室にくることを真由は嫌がる。
昼だって真由が俺を呼びに行く、という。
それは嬉しいんだけど、遠回りになるじゃん、というと諦めたように溜め息をついただけだった。
「とりあえず、行くから」
と前村と真由は教室から出てくる。
「なんでさ、俺が教室に行くの嫌がるわけ?俺が不良だから?」
と聞くと真由はうろたえていた。可愛い。
「ち、違っ。」
「じゃあ何?」
「・・・あのな」
真由はおれの顔を見て立ち止まった。
「ん?」
「・・・もういいっ!」
そんな途中で辞められたら気になんじゃん。
言わないと拗ねるよ?
前村は俺の肩を叩く、なんだそれ慰めてるのか?
どうして俺が真由を怒らせたことになってるんだ?
全然わからん。
「なんなんだよ」
つぶやくと前村から返答が返ってきた。
「お前と、真由と俺と。三人でいるとうちのクラスの女子からなんて言われてるか知ってるか?」
「?」
「ジャニーズみたいって。真由はそれが堪らなく嫌みたいで、変にプライド高いじゃん。あいつ」
そんな理由で俺が真由に会い行けないなんて・・・なんて不憫な俺!
「じゃあ前村はいいのかよ」
「お前ほど目立って顔いいわけじゃねぇし、クラスは仕方ないからな」
とニヤニヤしやがる。
ムカつく、ほんとそういうとこ。
次の日から、真由の教室には行かない、という禁止令が真由から出されたが。
真由が昼になるたびに、俺の名前を呼んで(何故か緊張して赤くなってるし)くれるのでニヤニヤが止まらないのはいいことだ。マジで。
「・・・吉野、今度から俺を呼びにこい」
続いたのはせいぜい一週間で、またすぐに俺が真由を呼びにいくこととなった。
理由を聞くと「他の教室は入りにくい」からだそうだ。
もう少し恥じらう真由が見たかったなぁと思いつつも、禁止令が解けてよかったという毎日。
それが俺の日常。
fin