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□夢小説2
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「なに?」
「あ、いや」

なにやってんだ、俺は。伸びた手は##NAME1##の腕を掴んでいて。
ああ、なんでお前が機嫌を悪くするんだ。それで、なんで俺はこんな焦ってるんだろうか。

「どうでも、いいけどお客さん、今日はどこへこませたの?」

腕をつかまれたままの##NAME1##は眉根をよせたまま言った。

失礼な、と舌打ちする。
今日は珍しく32はどこもぶつけちゃいない。だけど俺はここに来た。ああ、そうだ理由なんて1つしかないじゃねぇか。

「・・・悪いか?」

「なにが?」

「なんも、なくて俺が来ちゃいけなかったか?」

「へ?」

まぬけにぽかんと開けた口と目はすぐ横のヘッドライトよりもまんまるだ。

「だから、ほらコイツ直すの手伝ってやるっつーんだよ」

誤魔化すように言うと、更に##NAME1##の目は大きく見開かれる。

「え、中里さん直せるの?」

「お前ボケてんのか、これでも走り屋やってんだぞ」

##NAME1##の目が泳ぐ。

「あー、だって、いつも壊す側の人だからつい」

「おい」

確かに俺は32をへこませてここに来る。言っておくが下手だからじゃない、熱くなり過ぎる自覚はある。冷静さが足りないともよく言われる。

それよりも問題は、どうして俺は手伝うなんて口走ってるんだろうか。どうかしている。

「えっと、じゃあよろしくお願いします?」

完全には納得のいかないような微妙な顔の##NAME1##を見て、思わず目が合う。

「っは、なんで疑問系なんだよ」

「いやぁ、だって・・・まさか、工賃なしで板金させるのが目的で」

「おい、てめぇ、ヒトの親切は素直に受けとけ。別に礼なんて最初から欲しくねぇよ。」

「じゃあ、何が魂胆なの?」

「・・・帰るぞ」

「ちょっ、まって、まって、ゴメンナサイ、神様仏様中里様。冗談です。お手伝いお願いします」

踵をかえすと、すごい勢いでとんできてシャツの袖をぐいぐい引っ張ってくる。思わず頬が緩むがそれをこいつには見せないでおこう。

「4割引」

ニヤリと振りかえると、##NAME1##の痛そうな顔があった。

「2割引!」

「3割引きだな」

「ぐ、」

冗談で言ってるのに、##NAME1##は真に受けてうんうん唸っている。面白いからこのままにしておこう。

「で、どっからはじめる?」

工具を手にしながら声をかけると、パアッと##NAME1##の顔が明るく輝く。

「サスからみようかな、いやオイル系もだだもれだしなぁ。とりあえず排気系はずすでしょ・・・トランスミッション壊れてたらマジで泣けるなー」

ぶつぶつ言いながら車にもぐる彼女。
この車が走る頃には、何かが変わっているだろうか。いや、いつまでもこのまま変わらない気もする。

何故だろう、この物足りなさは。

「##NAME1##!」

思わず彼女の名前が口をつく。
##NAME1##よりも、俺が驚いていた。

ひょっこり出した顔が、ミーアキャットみたいで、不思議そうな目が俺を見上げていた。

「なに?」

「あー、これ完成したら言うわ」

「・・・ソレッて出来るまで手伝ってくれるってこと?やった!」


このままの距離感がいい。
だけど、どうしてこうもどかしさ、なんて感じているんだろうか。


多分、この答えを出すのはもう暫くかかりそうだ。

このフリークライマーが走り出す日か、でも、いつかはきっと遠くない未来のこと。

俺は彼女に何かを伝えるだろう。

その何かはまだ、はっきりと形にはなっていない。こうしていられるだけで、充分だって思えるのは「ありえねぇ」ことだ。

だから、俺はまつ。

俺の言葉がいつかはっきりとした姿をもつまで。









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