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□ウラオモテマエ
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【Side前村→山ノ上次男】


あいつが、
吉野が山之上のことを好きなのは知っている。
俺達は当然三人が当たり前で特別な感情なんて必要なかった。

だから俺は吉野にムカついていた。

だから真由を唆して今の学校に来たのに、吉野はクラスは違えど同じ学校にいる。
異常なしぶとさだ。
悔しいけど真由のことを好きなのは許してやった(俺の中でだけどね)。

俺としては複雑だった。
親友として二人が好きだし、俺だけ取り残されるような孤独を感じていた。

吉野と山之上は仲がいい。

二人でしょっちゅう盛り上がってるし、俺なんか必要ないのかもしれない。と思ってしまう。
吉野、お前のことも友人として好きだけど、山之上を捕ろうとするなら赦さないよ。

俺を一人にしないでよ。

ほら、二人とも俺が捻くれてるの知ってるでしょ?
だからお前達だけで特別になんてならないで。
置いて行かないで。

「前村?」

山之上に覗きこまれて、俺は何時もどおり自嘲ぎみに微笑んだつもりだった。
山之上は不安そうだった。

「何?」

「すんげー、辛そうな顔をしてる」

どうしてコイツはこう、タイミングよく。
だからお前には気を許せる。
分かってないのに、分かる奴っているだろ?

「いや・・・」

「言えよ、なんだ?」

心配そうに憂いをおびた瞳、声。
なるほど、吉野の気持ちがわかるな。
手ぇ出したら、吉野はどんな反応をするのだろう。興味深い。

「いや、山之上。ジャニーズのオーディション受けたら?」
受かるかもよ。と言うと山之上はポカッと俺の頭を叩いた。

「・・・殺すぞ」

怒ってる、怒ってる。
身長はあるくせに迫力は全然ない。
雰囲気が小さく見えるので可愛らしい。
言ったらマジで殺されるだろうけど(笑)

何故かしらないが、山之上はジャニーズとかアイドル扱いされるのを酷く嫌がる。
顔はいいのに勿体ない。
しかし、本人にはその自覚がない。
真面目くんで変人、ゲーム好きでインドア派。それに比べて吉野は不良、ちゃらい&運動神経抜群のアウトドア派。因みにサッカー部。俺も真面目ではない方で、野球部だし全く違う三人でもある。

不思議だよな。

女子がキャアキャア騒いでいる。
ああ、吉野だ。すぐに分かる。
男の俺から見てもイケメンなんだから女子がほっておくはずがない。
山之上の表情は一瞬嬉しそうに緩んだが、すぐ不機嫌に歪む。

「真由ー前村ー。メシ行こうぜー」

それが俺の毎日。
これが俺の日常。
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