StrikeWitches-太平洋の魔女

□SP12:蒼空の守護神
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『全艦、船団を中心に輪形陣を組め!我々だけでネウロイを仕留めるつもりで行きやがれ!』
 ガダルカナル南東に展開しているリベリオン海軍第3砲戦艦隊の指揮を取るのは、ウィリアム・フレデリック・ハルゼー・Jr海軍中将、通称『ブル』だ。
 第3砲戦艦隊は空母を伴わない。そのため、艦隊防空能力は空母群とは比べるまでもない。そんな死にに行くような艦隊の指揮官が務まるのは『気性の荒いことで有名なハルゼーしかいない』それが司令部の結論だった。
 艦隊には第61任務部隊から引き抜かれた戦艦ノースカロライナ、元々所属していた戦艦ワシントンとサウスダコタ、重巡2、軽巡2、駆逐艦8がいる。他にも、扶桑海軍の高速戦隊も配置されていた。

『全機、いつでも発艦出来るようにしろ。作戦開始時刻に遅れるな』
 一方、北西方面に展開するのは、フレッチャー中将が指揮する第61任務部隊と、小沢少将が指揮する第三艦隊だ。空母エンタープライズ、ホーネット、翔鶴、瑞鶴が含まれる大規模合同艦隊となっている。
 飛行甲板の後部は出撃を待つ航空機で埋め尽くされ、航空参謀によって作戦内容が伝達されている。
「ところで、先程からウィッチの姿が見えませんが?」
 甲板を眺めていた参謀が言う。作戦の要であるウィッチがいないとなれば、この計画は頓挫してしまうのだから当然だ。
 しかし、フレッチャーはそれが聞こえないかのような振る舞いをする。
「――司令!!」
 無視されたことへの腹立たしさと、作戦の重要性を本当に理解出来ているのか、という感情から大きな声になる。
「……君は、本気でこんな計画が上手く行くとでも思っているのかね?」
 逆にフレッチャーが問い掛けると、参謀は黙ってしまう。彼も分かっているのだ。この作戦はリスクばかりが大きく、結果が出ることもないということを。


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