StrikeWitches-太平洋の魔女

□SP15:リーゼロッテの一日
1ページ/6ページ



 扶桑皇國からお偉いさんが前線に来たことは、ラバウル基地の士気を格段に向上させていた。とは言っても、ウィッチが一人来た方が士気は上がるのが現実ではある。何故なら、ラバウルには何もないのだから。
 以前、竹中直子中佐がラバウル基地に赴任した時の方が士気は上がっていたような気がしつつも、興味がないのでスルーを決め込んでいるシュヴィアース大尉は、今日もオイル塗れになっていた。
「パンツァーシュレックをセミオートにするには……この配線を弄れば良いのでしょうか」

――チュドーン!!

「………間違えました」
 うっかり発射装置に電流が流れ、ロケット弾が射出されたのだ。お陰で、部屋の出入り口側が吹き抜けに様変わりしてしまった。
「もー、朝から何なのよー」
 完全に寝ボケたクルーグハルト中佐が、シーツを身体に纏って顔を出す。勿論、その下は何も着ていない。
 そのまま一歩踏み出すが、ボーっとして段差の存在を忘れていたため、盛大にコケる。
「いたた〜…。朝からツイてないなぁ、今日」
 土なら着いている彼女は、ゆっくりと立ち上がる。
 すると、男性兵士たちとレズっ子の水野中尉が鼻血を垂らしているではないか。まさかと思い、彼女は自分の身体を見ると、見事に生まれたままの姿だった。
「ぁ、ぁぅ…ぁ……」
 途端に真っ赤になったクルーグハルト中佐は、泣きながら部屋に駆けて行った。
「……まぁ、人間、失敗は付き物ですね」
 勝手に納得するシュヴィアース大尉の言葉は、クルーグハルト中佐に向けられたものなのか、彼女自身に向けられたものなのか。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ