StrikeWitches-太平洋の魔女
□SP10:ひと時の安息に
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大物を仕留めたとはいえ、後味の悪い夜になった。
そんな中で、クリスティーナとアルマ、ティファニーは恋話を満喫していた。実状は、ティファニーが良いダシにされているだけなのだが、そこら辺は誤差の範囲内だ。
「やっぱりあなた方の仕業でしたか…」
恨めしげな視線を向けるのは、勢いでしてしまったティファニーだ。二人が一服盛っていたことをネタバレしたらこうなった。想うだけで止めておきたかったらしい。
「いーじゃねーか、別に!バレちゃいねぇんだろ?」
「いっそ、既成事実的な感じで持っていけば、案外いけるかもしれないぞ?」
二人に反省の色は一切ない。割と真面目に話している方だったりする。
しかし、火に油を注ぐというより、燃料タンクに爆弾が降り注がせてしまった二人の頭を、ティファニーは全力でグーで殴った。そして、泣きながら走って行った。
「…まさか……魔法力を使ったコブシで来るとは…な…」
二人揃って一発KOだった。
「フレッチャー中将。最近、アレな噂が艦内で広まっているのですが…」
フレッチャーが帰って来るなり、参謀称を着けたフレッチャーと同年代の男が言う。妙ではなく、アレな噂である。
「遂に、あのハント少尉がオリファント中尉と関係を持った、とかなんとか…」
このままでは兵たちの集中力を欠くことになりかねません、と続ける参謀。エイミーが柔らかく見えるほどの堅物だ。
参謀は正直どうでも良い。問題は、フレッチャーが良い笑顔をしているということだ。
「あの、司令…?」
多少、頭大丈夫ですか、という意味合いを含ませて参謀が言うが、フレッチャーの表情に変化はない。
そして、彼は言った。
「男子禁制にしていれば、まぁそうなるだろう。それに、あの二人ならばお似合いではないかな?」
ニコニコとした表情のまま、フレッチャーは自室へ歩いて行った。
その場に残された参謀は、それからしばらく、自分が間違っているのかどうか悩むこととなるのだが、それはまた別のお話だ。
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