白恋

□温もり
2ページ/3ページ




誰かの掛け声で目が覚める。

「吹雪?」
吹雪「……烈斗、それに真都路」
烈斗「こんな所で寝たら風邪引くぞ」

二人は幼馴染でよくアツヤも入れた四人で一緒に遊んでいた。

真都路「お母さんがおにぎり作ってくれたの!」
吹雪「…おいしそうだね」
烈斗「一緒に食べようよ」

テーブルに移動し食べる支度を始める。
既に20時を過ぎていた。
あ。
部屋を良く見ると付け覚えのない暖房が付けられている。
僕のコートもハンガーにかけられてある。
しばらく掃除してなかったのに部屋は妙に綺麗。

烈斗と、真都路がしてくれたんだ。
僕のために、してくれたんだ……。
二人の優しさが僕の胸に響いた。

吹雪「っ…」
烈斗「ど、どうしたの吹雪?」
真都路「吹雪?」
吹雪「ありがと…」
真都路「…」
吹雪「二人とも、ありがと…」

涙が毀れた。
アツヤやお父さんもお母さんもいなくなって僕は独りになったと思ってた。
独りで生きていけないといけない思ってた。

けど違う。
僕には支えてくれる友達がいる。
僕は、独りじゃなかったんだ。

真都路「早く食べようよ!お腹減ってるの!」
烈斗「そうだね」
吹雪「…いただきます」

おにぎりを口にした。

吹雪「…っしょっぱ!」
烈斗「ゴホッ!ゴホッ!」
真都路「な、何よ…」

塩がききすぎてて、辛い。
それに良く見ると形が歪。
綺麗に握れてない。

吹雪「これ、真都路が作ったの?」
真都路「だ、だってこんなのしか作れないし!」

真都路がわざわざ…。
お母さんに作ってもらった、のは嘘だだったんだ。
僕に気を遣わせて作ってくれたんだ。


次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ