薄桜鬼

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第一章 三幕 二



「悠くんっ」
「ああ、千鶴ちゃん。どうしたの?」
「もうすぐ夕餉だから呼びに来たの!一緒に行こう?」
「もうそんな時間か…うん、行こう」

千鶴ちゃんはあれからずっと私を気にかけてくれる。
今では千鶴ちゃんのおかげで大分リラックスして過ごせるようになった。

そして、
「おい!遅いぞ千鶴、悠!この俺の腹の高鳴り、どうしてくれるんだ!」
「新八っつぁん、それ単に腹が鳴ってるだけじゃん。困るよねぇ、こういう単純な人」
「っせぇ!お前らが来るまで待っててやった俺様の寛大な腹に感謝しやがれ!」
「それ寛大な心じゃないですか…」
思わず口をついて出てしまった本音に、笑い声がこだまする。

「こほん!とりあえず食おう。皆、腹が減ってるだろうしな。雪村君、千山君、座りたまえ」

近藤さんの言葉で、慌てて私達は自分の席につく。
ここで食べれるようになった時、私は信用出来ないという理由で沖田さんと斎藤さんの間に座らされていたのだが、私と千鶴ちゃんが仲良くしてるのを斎藤さんが見てから彼の計らいにより、私は沖田さんと千鶴ちゃんの間で食べさせてもらっている。


「平助!この魚、いただく!」
「ちょっと新八っつぁん!たまには一くんとか左之さんのおかずも盗れよ!」
「あいつらは守りが堅すぎんだよ!」

土方さんと山南さんが仕事でご飯に遅れるらしく、今日は食卓がいつにも増して戦場のようになっている。

「平助、お腹いっぱいだからご飯あげるよ。」
「ありがとよ、悠!やっぱ気が利くなあ!」
「悠、俺にはないのか?!」
「永倉さんはさっき平助の魚食べてたじゃないですか」


「そりゃそうだがよ…」
「なら我慢、我慢ですよ」
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