ささげもの

□子猫どこの子?(作成中)
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「見つけましたよ、副長!!」

「ザキ、そっち!後ろから回り込んで!」



その日、真選組は総出で猫を追いかけ回していた。



猫と言っても、人間の子供に猫の耳と尻尾がついた天人のような子供。




そんな曰くあり気な子供を真選組が必死で追いかけ回している。


周りの人間は関わらないよう近づこうとしなかった。



「よし……もう逃げられませんよ」


山崎が猫の子を行き止まりに追い詰め、ジリジリと近寄る。


今だ!と飛び掛かるのと、子猫が素晴らしいジャンプ力を見せ付けたのと同時だった。



山崎の顔を足場にして飛び越えようとした先に、予想外の銀色が広がっていて急遽そこに着地する猫の子。



「っと、何だ?」


何かに着物の襟を掴まれて、銀色の所から下ろされる。



「猫?」



どうやら銀色は男の髪の毛だったようで、その銀色の男は子猫をジッと覗き込む。



「あ、万事屋の旦那」


子猫に踏まれた顔面を押さえながら、山崎は銀色の男を呼ぶ。



子猫を捕まえたのは万事屋の坂田銀時だった。



「真選組が猫追っかけてるって聞いてさ、何か金の匂いがするから来たんだよね」


銀時はその猫を捕まえて報酬を貰おうとやって来たという。



「て、事で、猫返して欲しかったら金だしな」

「ちょっ、旦那。それは卑怯じゃないですか」

「でも、捕まえちゃったしなぁ。アンタらの仕事を手伝ったんだよ」

「別に仕事ってワケじゃあ……」

「え、仕事じゃねぇの?何、真選組は全員で猫と遊んでんの!?」

「遊んでません!その猫……」



そう言って山崎は子猫を見る。
銀時もそれに倣って猫を見た。



「あれ、この子……」


黒い髪に、黒い耳。
黒い尻尾に黒い着物。


全身黒なその猫は、誰かを彷彿させた。
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