浅夢物語

□お兄ちゃんズ
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pppp…pppp…


「ん〜っ……」

「…るちゃん……おはよう、千鶴ちゃん」

「きゃあっ?!」

目の前にはよく見知った顔。しかも千鶴の布団に入っている。

「酷いなぁ千鶴ちゃんたら。僕がせっかく起こしてあげてるのに、第一声がきゃあって…」

「もぅ!総司お兄ちゃん!起こすだけなら布団に入らないでっ」

毎日懲りずに妹のベッドに潜り込む兄総司。
そして毎日慣れずに叫び声をあげる妹千鶴。

どっちもどっちである。





ドタドタドタドタッ!

バァンッ!!


「どうした千鶴ーっ!」

「きゃっ、ぁ、平助お兄ちゃん!」


勢いよく開いたドアに驚いて総司に抱きつく千鶴。

「ぁーっ!総司お前またかよーっ!千鶴から離ーれーろー!」

「やだなぁ平助。千鶴ちゃんから抱きついて来たんだよ」

火花を散らす5男総司と6男平助に挟まれてただただおろおろする千鶴。

「っるせぇ!朝から騒いでんじゃねぇっ!」

「歳お兄ちゃん!」

助かったとばかりにパタパタと駆け寄って後ろに隠れる。

「げっ!」

「げっ!って何だ平助」

「ぅわ〜、最悪!って意味ですよ。ね?平助」


ブチン




「千鶴、ここは危ない。朝飯ができているから、下へ行くぞ」

「一お兄ちゃん!」

長男なのに何故か名前に三がつく歳三からブチンと音が聞こえたのと同時に、三男なのに何故か名前に一がつく一から避難勧告が出され、一階のリビングへ向かった。



リビングには、人数分の朝ごはんが用意されていた。

「あれ?新八お兄ちゃんは?」

三男なのに何故か名前に八がつく新八。

千鶴がきょろきょろと首を回すと、リビングのドアからちょうど声がした。

「新八なら朝っぱらから裏山にランニングだとよ」

「左之お兄ちゃ……」

現れた次男左之助は、朝シャンの後らしく、前が大きくはだけたバスローブ姿で髪の毛から水が滴っている。

水も滴るなんとやら、とは左之のことだ。


いくら兄弟と言えども、色気むんむんで登場されると、年頃の千鶴は流石に赤面する。

「なんだよ千鶴、照れてんのか?」

くいっと顎を持ち上げられると、目の前には色香だだもれ中の左之の顔。

「左之お兄ちゃんのバカぁっ!」

千鶴が左之の胸を思い切り押すと、くすくす笑いながら引き下がる。

「僕の千鶴ちゃんに触らないでくれる?」

「きゃあ!」

後ろからぎゅう〜なんてするのは総司しかいない。

「総司お兄ちゃん離してぇ〜っ!」

ため息をつきながら歳三と平助はリビングに入る。

「僕今日まだ、きゃあっ!って声くらいしか聞いてないんだけど」

千鶴の頭に顎を乗せてブーブー言う総司を引き離すべく、長男歳三と次男左之助は2人がかりで5男総司の首根っこを掴んで、猫の如く扱う。
4男一はお茶を煎れ、6男平助は"めざましいテレビ"の星座占いを仰視。
そこに3男新八が裏山から帰ってきて食卓に着く。

これが、日常。




「おはよう、お兄ちゃん!」

「「「 おはよう、千鶴(ちゃん) 」」」







お兄ちゃんズ

(今日も妹は可愛いです。 お兄ちゃん一同)






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