浅夢物語
□千鶴観察録
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ちょっとオマケ。
千鶴side
土方さんに熱々のお茶を運んでいる途中で、廊下に足をとられた。
「きゃっ」
「千鶴ちゃん危ないっ!」
転ぶ!と思ったけど、そんなことはなくて、いつもの香りに後ろから包まれていた。
顔は見なくても、誰かなんてすぐ分かる。
「沖田さんっ!すみません…ありがとうございます」
沖田さんの腕の中で顔を後ろに向けて、申し訳なく見上げてお礼を言う。
「君って本当に危なっかしいよね。気を付けなよ」
「あ、はいっ」
いつもと違ってあっさりと腕を離す。
くしゃくしゃとわたしの頭を撫でて、足早にどこかへ行ってしまった。
「…こっちの方が危ないです……よ」
真っ赤になった顔が元に戻ってから、土方さんにお茶を渡しに行った。
その時には、お茶はとっくに冷めてしまっていた。
本当に、了