浅夢物語

□千鶴観察録
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ふふふ〜んふふ〜ん…


『今日から始める千鶴ちゃん観察録』っと。




『今日 晴れ』

あ。
日付じゃなくて今日って書いちゃった。

ま、いっか。



この本、誰かさんの発句集だし。










『朝 調理場で一君と並んで朝飯を作ってたから、後ろから抱きついた。そしたら包丁を持ったまま振り返った。』

んー、さすが僕の千鶴ちゃん。
朝から刺激が強いよね。

とりあえず、包丁置いてからその笑顔が見たかったよ。







『朝飯 平助と仲良く話してたから、焼き魚を貰ってあげた。千鶴ちゃんは全く気付いていなかった。』

僕ってなんて優しいんだろう!

でも、普通気付くよね?

だってさっき調理場にいたんだから。











『午前 茶碗を洗い終わって、洗濯を始めた。洗濯物が山積みで、姿が見えなくなっている。』

せっかくだから洗濯物の山を崩してみたら見事に埋まった。
やっと出てきたと思ったら、崩れた洗濯物の山を見ながら「風かなぁ?」って首を傾げた時は最高に笑わせてもらった。

君って、本当に飽きないよね。





あ、そうだ。

『土方さんにお茶を持っていく途中、転びそうだった。』

ほんと…危なっかしい。










「きゃっ」

「千鶴ちゃん危ないっ!」

気付いたら走り出して、後ろから支えていた。腕にかかるふわりとした重み。
湯飲みから上がる湯気を見て、こぼれてないのを確認。

僕はほっと胸を撫で下ろした。

「沖田さんっ!すみません…ありがとうございます」

腕の中で、顔を後ろに向けて申し訳なさそうに見上げてくる。

「君って本当に危なっかしいよね。気を付けなよ」

「あ、はいっ」

僕は足早にその場を去った。









…危ないのは、僕の方か。

いきなりは……ね。













『夕方 巡察から戻ると門の前を掃除していた。僕ら一番組が戻ると、隊士達に駆け寄って労いの言葉をかけていた。』



何?
僕は後回しなわけ?





「沖田さんっ!お帰りなさいっ!お疲れさまです」



…まぁいっか。










こんな可愛い笑顔見たら、そんなこと言えるわけないよね。



「ただいま、千鶴ちゃん」












『千鶴ちゃん観察録 終わり』っと。

(この瞳に君の全てを焼き付けておこう)








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