しょーせつ。

□大きい手
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「…えと、ごめんね」

「ッ………!!」

ポニーテールが似合うかわいらしい女の子は、息を飲む音を残して走りさっていってしまった。

これで、ぼくがこの高校に来て3か月という短い月日に告られた回数は15回。

単純計算で1か月に5回告られた。

「…断るのも罪悪感すごいし、軽々しく愛の告白なんかしないでくれよ」

独り言で悪態を付きながら階段を下り、自分の教室へ向かった。

ぼくの名前は川原佑樹 15歳。

頭の良さは平凡。運動能力も平凡。顔だって平凡。

全部全部平凡なのになぜかぼくは一目ぼれされる確率が高い。

体質なのかどうなのか分からないけど別に嬉しいと思った事など無い。

それには理由は二つある。

一つ目はぼくが男好き、つまりゲイだという事。

これに関しては男の人からも告白されるしあまり関係無い。

二つ目は好きな人がいるという事……。

ボーッと考え事をしているうちに教室の前まで来た。

たてつけの悪いドアをガラガラ開けると夕暮れに染まる教室には一人の男しかいなかった。
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