土方歳三〜春の月〜

□第三話
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【土方歳三 第三話】


<ナミ>
今日はなんだか外が騒がしくて。
龍馬さんに聞いたら、お祭りがあるとのことだった。

「行きたいな〜お祭り」


<以蔵>
「武士は祭りにはいかん。行くならお前一人で行ってこい」


<ナミ>
むむっ…!
そうなんだ…。
そういうことなら道理はわかるけれど、言い方が気に食わないっ!

「わかりましたー。一人で行ってきますっ」


<以蔵>
「おい…子供だな」


<ナミ>
「なにそれ、最初に突っかかってきたのは以蔵でしょ!」


<以蔵>
「なんで俺が…」


<武市>
「以蔵は普通にしゃべっていても喧嘩を売ってるように見えるんだ。
ナミさん、悪いが大目に見てやってください」


<以蔵>
「…」


<ナミ>
以蔵って本当武市さんに弱い。

それにしても…んー…。
まぁ危険を冒してまで一人でお祭り行ってこようとは思わないけれど。

でも…最近ずーっと一人で寺田屋に篭りきりだし…。
せっかくだからちょっと出かけたかったな。


<慎太郎>
「すんません、姉さん」


<ナミ>
あっといけない!
私不満そうな顔しちゃったかな。

「ううん、大丈夫だよ」


<龍馬>
「ナミさん」


<ナミ>
龍馬さんが向こうで手招きしてる…。
なんだろう。

龍馬さんのところに行くと、耳打ちするみたいに小さな声で話しかけられる。


<龍馬>
「あとでみんなには内緒でワシと一緒に行こう」


<ナミ>

「え、いいんですか?でも龍馬さんだって…」


<龍馬>
「しーっ!気にせんでもええ。
実はの、ワシも行ってみたかったんじゃ」


<ナミ>
「本当?」

私に気を使ってくれてるのかな、と思ったけれど。
龍馬さんもとっても楽しそうだったから、半分は本当なのかも。

せっかくだから一緒に行ってもらおう!
よかったー。

慎ちゃんたちには絶対内緒という約束をして、私たちはお祭に向かった。
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