土方歳三〜春の月〜
□第七話
1ページ/7ページ
【土方歳三 第七話】
<ナミ>
よくわからないけれど、今薩摩藩というところと、長州藩というところで不穏な動きがあるらしい。
それって確か龍馬さんたちも関わりのあるところだったよね。
長州藩は高杉さんと桂さんのいることろだったような…。
とにかく、そんな状況なので、歳三さんはいつも忙しい。
今日も暗くなってから、歳三さんは帰ってきた。
<土方>
「どうだ、例の寺は探せたか?」
<ナミ>
私は黙って首を横に振る。
何人か、歳三さんが信頼してる人がお寺を一緒に探してくれて、もう何日も探してるんだけれど…。
どこも違うんだよね…。
<土方>
「なんだよ…帰る気あんのか?
俺のそばから離れられなくなっちまったんじゃねぇのか?」
<ナミ>
「なっ…もう!そんなわけないでしょ!」
私だってお寺が見つからないの気にしてるのに…。
だって忙しい新撰組の人に手伝ってもらってるのに、いつまでも見つからないままじゃ申し訳なさ過ぎる。
<土方>
「ま、過去と未来を行き来する方法がそんな簡単に見つかっちゃ世話ねぇや。
ゆっくり探せよ」
<ナミ>
「…はい」
私は歳三さんが脱いだ羽織を受け取る。
新撰組でお世話になって、もう数日経つけれど、なんか段々歳三さんの奥さんみたいになってるような…
なんてないないない!!
<土方>
「勘違いすんな、お前はよくて妹だ」
<ナミ>
「…っ!歳三さん!私そんなこと思ってませんよ!」
<土方>
「そんなことってどんなことだよ」
<ナミ>
も〜っ!
なんで歳三さんには考えてることがバレバレなんだろ。
<土方>
「それよりな、明日は非番なんだ」
<ナミ>
「え…?」
<土方>
「休みだ休み。明日は俺が寺を探してやる」
<ナミ>
うそっ!
本当!?
嬉しい!!
明日は一日、歳三さんと一緒にいられるんだ…!