人斬り以蔵

□第九話
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【岡田以蔵 第九話】

<ナミ>
「おはよ〜…」


<ミツ>
「あぁナミさんおはよう。昨日、以蔵さんどういたがか?」


<ナミ>
「…!」

みっちゃんの不意打ちに昨日の光景が蘇ってきた…。


<ミツ>
「ナミさん?…さては…」


<ナミ>
「いや、あのね!」

さては…
さては何!!
みっちゃんっ!

あ、でもそうだ…。・
よくよく考えると、以蔵が何かにショック受けて泣いてたのは、紛れもない事実なんだよね…。
みっちゃんなら…その理由がわかるかな…?

「あの…以蔵さ…泣いてて」


<ミツ>
「えっ?」


<ナミ>
「私、どうしたら…」


<ミツ>
「あー、以蔵さんは泣き上戸ながやき、泣くと収集つかんちや」


<ナミ>
え…?

はい?
泣き上戸って…ちょっと…。

「それ、もっと早く言ってよー!!」

もーっ!
ものすごく真剣に相手しちゃったじゃん!


<ミツ>
「ごめんちや!…っふふふ。

ナミさんはずうっとうちらぁと友達やった気がするきに、もうとっくに知っちゅうと思ったぞね」


<ナミ>
む…むむむ…そう言われるとなんか嬉しくて…。
怒るに怒れない…。
みっちゃん、以蔵だけじゃなくて、私の扱い方まで習得しちゃったんじゃないだろうか…。

それにしても泣き上戸って…酔っ払ってただけってことだよね…。
はぁ。


<ミツ>
「はい。じゃあナミさん。
以蔵さんを起してきてつかあさい」


<ナミ>
「え?」


<ミツ>
「え、じゃないちや。もうお部屋のお掃除の時間ぞね。以蔵さんがいつまでも寝ちょったら困るやき」


<ナミ>
あ…あぁ、まぁ確かに。
でも…。
大丈夫かな?

以蔵の昨日の記憶が飛んでたとしたら。
私たち…まだ気まずいままなわけだし。

…。
でもそれをみっちゃんに言うわけにもいかなくて。
私は重い足取りのまま、以蔵の部屋に向かった。
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