頂き物★
□不思議
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(岡田以蔵視点)
傘など邪魔でしかない
相手よりも先に動けるよう
邪魔な物など必要ない
そんな事をこいつに言ったところで心配事を増やすだけだしな
雨を見ては溜息をついていたナミがくすくすと笑い動く気配がした。
なんとなくだがよくない前触れのようで眉間に皺が寄る。
知らず身体に力が入る直前にそれは起こった。
あまりの驚きで刀を落としそうになる。
ナミが後ろから抱き着いてその細い両腕を前に回し、手が腹の上を触り動いている。
「何がしたいんだ!」
龍馬も慎太もそして先生も出払ってしまっているため、つまらないのかと思い部屋に入れたが、こいつが大人しくしているわけがない。
「おい、なんの真似だ」
「だって…
不思議なんだもん」
「はっ?」
問いの答えになっていない返事をしつつ腕が解かれる。
俺が身体の向きを返る前にナミが前に回り真正面に座る。
刀を置くにしても抜き身のままでは危ないし、鞘に戻そうにも両腕の間に座ったナミがいるため出来ない。仕方なく刀を握っている手をナミから離す。
「やっぱり不思議だよ」
呟きと同時にナミの両腕が伸び、手が着物の内側へと入り脇腹を撫でる。
「っ!!」
ぐっと刀を握る手に力が入る。
「ねぇどこにしまっているの?」
近距離で小首を傾げ見上げるその仕草を見ていられなく横を向く。
俺のそんな態度を怒っていると取ったのか「ごめん」と言いさわさわと動いていた手が離れる。
「何がしたいのか、言いたいのか俺にわかるように言え」
「あ、あのね、以蔵って」
「ちょっと、待て」
一気に話始めそうなナミを
一旦制する。
「刀を置いてから聞く」
刀を持ったままでは引き離すことも出来ないからな
刀を鞘に戻し置くと、話を聞くためナミに向き直った。