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□修一【3月〜沈丁花〜】
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【 3月〜沈丁花〜 】
もう春の始まりだというのに。
まだ吹き抜ける風は冷たくて、
いつもより、もっと彼女の温もりが恋しくなる。
今すぐ抱きしめたい
そんなことを思い、ふと笑みを浮かべると
冷たい風に乗ってやってきたのは、沈丁花の甘い香り。
春の始まりを告げているこの香りが、僕を引き寄せる
ピンクや白で彩られているこの花は、まるであなたみたいで。
『優しさ』
『永遠』
頭をよぎったこの言葉は、沈丁花の花言葉
お互いを思いあえる優しさを持ってる僕たちが、永遠に一緒にいられる
そんな風に解釈してしまう僕を、沈丁花は笑うのかな。
でも、優しいのは彼女だけかもしれない。
だって僕は、彼女を僕だけのものにしたいと
そう強く思ってしまっているから。
だから、今から抱きしめに行くよ
甘い香りがするあなたの元へ、導かれるかのように――…
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