零-Zero-

□**暗躍する者達
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真っ暗な空間――

上下左右も分からなくなるような完全な闇の中で誰かが話している。
そこからは、何人かの人の気配がする。






「そうだねぇ。君に来てもらったのは、候補者を見つけたからなんだよ?」

「候補者、ですか」

「あぁ。そうだよ?この女・・・もはやこれは予知能力と言っていい。こんな能力があれば、色ぉんなことに使えるからね?」

「・・・」



何の会話をしているのだろうか。
真っ暗で、話している者の顔はおろか、姿すら見えない。
だが声で、二人が男なのだということはわかる。



「不満があるのか?」



先程のだらだらとした喋り方とは一転、鋭い声になった。
空気が一瞬にして変わった。



「・・・いえ。ありません」



男は動じた様子がない。
冷静さを保っているようだ。



「それでいい。所詮お前らは裏の代わりでしかない。だが、私だって少しはお前らの事を評価しているんだぞ?」

「・・・ありがとうございます」

「お前もそれなりに使える能力を持っているからな。それと・・・ヤツもな」

「・・・あいつは、能力を使うたびに・・・!!」



ギリッと歯を食いしばる。
グッと拳を強く握る。



「ん?そんな怖い顔をするなよぉ。僕は何か悪いことを言ったかなぁ?」



・・・ここは暗闇だ。相手の顔を見ることなんて出来るはずがない。・・・が、この男には相手の表情が分かるようだ。
間延びした声で、クスクスと笑いながら煽るように喋る。
不愉快極まりない。



「勿論それは分かっているよぉ?だから普段から、使わないようにと優しく注意してるんじゃないかぁ。死なれても困るしねぇ?」

「――っ!!」



殺気を放つ男。
その殺気を感じて、もう一人の男は不愉快そうに話す。


「今日は疲れているようだ。部屋に帰って休むといい。疲れてるようだから許してやるが――次は無いぞ・・・?」




―― に ひ ゃ り





笑った。
見えないはずなのに、笑ったと分かった。
その場に冷たい空気が流れた。



「っはい、すいませんでした。失礼します・・・」



男はその空間を後にした。





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