零-Zero-
□一話
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一見、個人の意思が尊重されているように見えるこの世の中は、結局無能なオトナによって無理やりに動かされていて、私たち子供は、それに抗うことが許されていない。
「強盗、殺人、その他の軽犯罪も含め……犯罪件数が年々増加傾向にあります」
自由に見えたこのセカイ。
実際は、目に見えないルールに雁字搦めに縛りつけられ、それに従う私たちはまるで人形のよう。
「具体的な解決策は……提示されていないのかね?」
見えない鎖を解こうとして、また今日も、ヒトは大衆の中でもがき苦しみ、理性を引きちぎり、本能を露わにする。
「それがないから、こうしてここに円卓を囲んでいるのでしょう……?」
人々は疲れていた。
何もない日々に、当たり前のように過ぎていく事柄に、何も見出せなくなってきたのだ。
「そんなことを言う前に、何か考えたらどうなんだ」
だから、新しい何かを求め、やってはいけないモノ手を出した。
彼らは、自分の日常を変えたかったのだ。
当たり前の日常に刺激を、
当たり前の時間に自由を、
当たり前のセカイに、改革を……
それが、犯罪というものに向かってしまった。ただそれだけのことではあるけれど、とても重要なこと。
ちょっとした反抗心から生まれた行動だったのかもしれない。
それが、行動から行為へと、エスカレートしてしまった。
何も起きない平和なセカイに飽きて、漫画や小説のような、魅惑的なセカイを求めて、自分の【能力】を、乱用した。
今ある平和が、どれだけ幸せなことかも分からずに。
真実を知らないヒトたちは、自ら不幸を選んだ。
もう後戻りはできない。
一度何かを犯してしまったら、やり直しはきかない。
これは紛うこと無き、現実なのだから。
『やれやれ……御年配の方々は、どうにも頭の固い人たちばかりで困る』
これは
「!?誰だお前は、今は会議中だぞ!?」
そんなセカイを変えようとする
『全日本犯罪対策局局長―……セキラン=レイゲツカ。以後、お見知りおきを』
ある人物を取り巻く
『本日この場所この時を以って、この会議における決定権、およびその他の権利はすべて、我ら対策局のものとなります』
悲しい、物語
「一体何だ…!?」
「そんなことを誰が……!!」
『異論は認めない、意見もさせん。君たちには、これを否定する権利はない……これより、プロジェクトの始動を宣言する』
『REAプロジェクトの……始動だ』