零-Zero-

□第二話
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ピピピピピ……




「……う、うううん」



すぐ近くから電子音が鳴り響く。無駄に響くその音に、私の意識は夢の底から浮上した。薄く目を開けると

あー……眠い、眠いねむい。なんのおと?うるさい、なあもう……って



「きょ、う、開校式だ…!!」



あわてて飛び起き、ベッドの上に置いてある目覚まし時計を掴んだ。どうやら寝坊したわけではかった。安心して目覚まし時計を毛布の上に放り投げ、そのまま後ろに倒れ込んだ。



「ふー……もうここで二日過ごしたはずなのに、今日から学園生活が始まると思うと、なんだかこの部屋が違う場所に感じる……」



大の字になったまま、クリーム色の天井見つめ、しばらくそのままの状態でぼうっとしていた。まだ眠いのをこらえてゆっくり起き上がり、すぐ近くにある窓のカーテンを引き、窓を開けた。

爽やかな風が吹き込み、カーテンが揺れる。なんだか新しい気分。ここに来たその日とはまた違う感覚に、自然と笑みがこぼれた。

ぐっと背伸びをして大きくため息をつき、スリッパをはいてリビングへと向かった。この二日間で部屋の片づけは完全に終わり、コトト達と買い出しなんかも行けた。もう最高としか言いようがないくらいの品ぞろえに、私とコトトは歓喜していた。ユキノもなんだかんだで、楽しそうだからよかった。

このスリッパだとか、小物とかを色々買ったわけなんだけど……お金の使いすぎで、昨日の夜にお父さんからお叱りのメールが来た。うん、メールなのにちょっと怖かった。

一応、バイト紛いのこととかやってたし、お金はそれなりにあるんだけど……やっぱり使いすぎはよくないよね。しばらくは、節約しないとなー。

ここは学生の街、ということで大分商品の値段が安くなっている。とくに、生活用品や食材は安い。キャベツとかの野菜類がほとんど百円で売ってて、もう驚いた。パンも安いし……レストランで食べるより、かなり安上がりだ。

なんて話しをしたら、ユキノもコトトも二人して夕飯を私の部屋まで食べに来るんだから大変。まあ確かに三人で食べるのは楽しいよ?でも、私の食材が早く減っていく……。お金取ってやろうかなコトトだけ。


リビングの窓を開け、ベランダに出て大きく深呼吸をすれば、眠気が吹き飛んだような気がした。



「んー、いい天気だー」



今の時間は、七時半。開校式は十時からで、まだ十分に時間はある。これなら朝食を作って、ゆっくりする時間がありそうだ。それだったら、二人……呼ぼうかな。リビングに端末を取りに戻り、端末に二人の名前を表示させ、同時通話のボタンを押した。
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